私の父と祖父は大工仕事の達人だった。
パワーツールなど使わなくとも、見事なまでに美しい家具/調度品を作り上げることができた。
私はその傍らで、いつまでも飽きることなく作業を見ていて、「すごいなぁー、かっこいいなぁー」と、ただただ目を丸くして見入っていたものだ。
写真にも納まっていない、そんな幼い頃(小学校に上がる前)の記憶が、木の香りを嗅いでいると蘇ってくる。
先月末、遥か昔から欲しかった scroll saw を購入した。
何件か店をハシゴし、これだと決めたものは、中古の EXCALIBUR EX-21 。
私の主要目的である透かし彫りをする際、ブレードを頻繁に取り外し/取り付けたりする為、その都度一々テンションを調節しなければならないタイプのものは論外だったが、国内で売られている物のほとんどがそのような不便な作りで、たった2機種が条件を満たしているだけだった。
この機械、中古と言えどもここNZでは結構な値段で、アメリカで新品が買えるほどではないかと思われるほどだったが、何せ超品薄のNZでは他に選択肢は無く、そこに居合わせたどこぞの学校の先生が、もう一つの機械もとてもいい機械だが、これはエクセレントだよと褒めちぎっていたのも手伝って、悩みに悩んだ末、清水の舞台から飛び降りた気分で「買う」と決めたのだが、購入を決めた直後に、一旦店を後にしたその先生がこの中古の EXCALIBUR EX-21 を買いたいと言って戻ってきたため、店の店員は皆で「残念だったねぇ〜、一足遅かったよ」と大笑いしていた。
この機械は私の所に来ることになっていたんだろう(笑)
このスクロール・ソーというもの、もっと簡単に操れるものだと高をくくっていたのだが、最初の内は木の堅さとブレードの太さ、そしてスピードに慣れておらず、所々型紙の線から微妙に外れ、「どうしたら上手く切れるんだ?」と首を傾げる日が続いた。
夜はベッドの上でYouTubeのビデオを見て勉強し、ようやくほぼ満足できる仕上がりになってはきたものの、まだ板の節目部分に当たるとブレードが微妙によけてしまうのを上手くコントロールできず...
写真のチェスの駒は、縦3.5cm、台座2.2cm × 2.2cm 。このような3Dのものも作ることができるというのは面白い。(ちなみに、これは同居人がペンダントにするそうだ)