T が 8 月中旬から頻繁に働きに行っている会社のオフィスは、俗に K-Road(Karangahape Road)と呼ばれている一角にあり、昼になると近くにランチに出かけることになる T は、会社から一歩外に出ると、何やら異様な雰囲気に包まれるのだと言っていた。
一昔前に比べたらかなり綺麗になっている地域と言えるのだが、依然としてホームレスが多く居り、ヤク中とおぼしき奇声を発している人やらが常に徘徊しているような状態なのだとか...
昔から薄暗かったフードコートで食事をすると、ホームレスが隣のテーブルに座っているというのは日常茶飯事。私も以前そんな場面に遭遇したことが幾度となくあった。
ホームレスはまだいいのだが、奇声を発して徘徊するヤク中は勘弁してほしい...
仕事場でも、最初、本来の契約であるビデオ エディティングよりもグラフィック デザインをさせられることの方が多かったようで、ストレスが溜まりまくっていた中で、ランチで心機一転を図ろうとしても、外に出ればそのような状況... 気楽に街を散策する気にもならないと嘆いていた T だが、それでも 4 ヶ月も通っているとさすがに慣れたようで、その様子が時たま話される時には笑っている。
私は、ほとんどの個人経営の店が空き店舗になってしまっている Newmarket に先ごろ行って来たが、閑散とした街を歩いていても、今のところ奇声を発している人はおらず、危ない感じもしなかった。(とは言っても、常に周囲の状況を警戒しながら歩いてはいたが)
Newmarket で少しは活気があるのは Westfield S.C. のみと言っても過言ではないほどの、落ちぶれようだ。
(少し前、日本の人気のあるユーチューバーが オークランドにやって来た折に Newmarket にも立ち寄っていたが、彼が訪れたショッピングセンターの外の商店街が空き店舗ばかりだということには触れていなかった。ちなみに、ビデオの最初の方に出てくるブリトマート駅を出た目の前に比較的新しいショッピング モールがあるのだが、彼はその存在に気づかなかったのか、紹介されてはいなかった)
どこの国でもそうだろうとは思うが、この国でもまた、コロナ以降、経済は上手く回っていない。
街の活気は廃れてしまい、ポストショップでさえも、クレジットカードの支払いに手数料をチャージして来るようになってしまっていることを、少し前に知って驚いた次第だ。
私たちがここ NZ に来た当初は 1NZ$ が ¥47 ほどだったのに、最近では ¥90 付近を行ったり来たりと、日本円が恐ろしく弱くなってしまっている。それに加えて NZ 国内の異常な物価高... 年金暮らしの身にはかなりキツい。
今年、H のパートナーは自営のタイル張りの仕事が受注薄で、充分な収入を見込めなくなり、本来の仕事とは無関係の一般企業に、フルタイムで働きに出るようになったとのこと。
せっかく高い/確かな技術を持っているのに、『お粗末極まりない技術(+当然のことながら手抜き)だが低賃金で働く某国から来た労働者たち』に 施工費用で太刀打ちできる術もなく、そのスキルを発揮する環境を奪われてしまったという話を聞いて、T と私はやり切れない気持ちになった。正真正銘の『職人』がどんどん消えていく時代...
こんな状態がいつまで続くのだろうか?
幸いなことに H の職場環境は良く、この不景気の中でも昇給し続けている。
だが、先のことは予想がつかない。
来年は T や H の関係する広告業界に、少しは活気が戻るのだろうか?
先日久しぶりに姉に連絡をすると、「NZ は経済が弱くて、オーストラリアに働きに行く人が多いと報道されていたのを目にしたよ」と言っていた。
仕事を求めて NZ から隣国オーストラリアに渡る人は年々増えているようだが、オーストラリアの "狂った物価高" でも生活して行けるほど給料がいいということなんだろうな... などと考えてみても、やはり T と私はオーストラリアで生活したいとは思わない。
私たちは NZ の方が好きだ。
好きな国に住む権利があるということだけは、幸せだなと思っている。