父の持っていた鑿の中に、おそらく西洋では見られないだろうと思われる鑿が幾つかあった。
写真の最も大きなものは刃の幅が 4.5cm と、鑿にしては異例の広さで、尚かつ浅くカーブしており、更には刃のつき方が西洋で使われる一般的な gougeと反対になっている。
写真の3本の鑿は何れもカーブの内側を研いであり、外側は研がれていない。
シャープに研ぎ直し、どの程度の深さに彫れば綺麗な仕上がりになるのかを探りながら、少しずつ々掘り進めていった。
刃を保護する為の鞘は、父が作ったものか、はたまた祖父が作ったものか定かではないが、よく出来ている。(私なら、皮革をその形に縫って作っただろうと思うが)
私が小学校に上がる前、父と祖父が一緒に家の裏で大工仕事をしていたのを鮮明に覚えている。とりわけ、父がとても長い角材を鉋がけしていて、薄く長く出て来る鉋屑を「わー、きれいだな〜」と感動して見ていた光景が頭に焼き付いている。
大工仕事を見ているのが本当に好きだった。