30.11.12

Hotel California

Job interview に行った日、出掛ける直前に、飾ってあった彼の人の写真が机から落ちた。(もちろん落とそうと思ったわけではない)
そして、仕事初日の昨日、人生に於いても仕事に於いても大先輩のパメラから仕事内容を聞いている時、ラジオから流れて来たのは The Eagles の Hotel California だった。彼の人が大好きだった曲である。
不意に涙が溢れてきて難儀をした。

ただの偶然と片付けてしまいたくない現象が人生の節目々に度々起こり、その度に彼の人の存在を強く感じるようになるというのは、どういうことなんだろうか。


新しい職場は、家から車で5分程度の所にある"有名人"のブティック。毎日のようにTVに出ているタレント(?)の店らしいが、TVを観る習慣の無い(持ってもいない)我家では、当然のことながら誰一人としてその人物についての情報を持っておらず、私は面接を受けに行くまでその人の名前すら知らなかった(笑) そのような所に何故面接を受けに行ったかと言えば、8年来の友達がそこでshop assistantを募集していると紹介してくれたからだ。

shop assistant の経験も無く、オーナーについて何の知識も無く、英語に関してもあまり自信のない私が、他の応募者が居なかったわけでもないのに採用されたのはかなり謎であるが、奇跡的に採用されてしまったので、英語上達の為にそこで働くことにした。


パメラは「楽な仕事だから」と何度も言っていた。
暇な時には椅子に腰掛けて本を読んでいればいいし、掃除は汚れていなければ一週間に一度くらいでいいんじゃないのという程度の大雑把さだ。(オーナーとのインタビューに出向いた時には、オーナーが一人で掃除機をかけていた(笑))
仕事中に用事で出かけたかったら、表の鍵をかけて、何分以内で戻りますという張り紙をして出掛ければいいと言うし、基本的に仕事に拘束されるという感じではない。(私のこれまで持っていた"日本の常識"からすれば、私用は仕事に入る前に済ませておくか、或は仕事がひけてからにすべきだと思うのだが... 日本人の私からすれば、極端にゆるい職務規程である)
キウィの職場環境に慣れてしまったら、とてもじゃないが日本の企業でなんて働けなくなるだろうなとしみじみと思った。

移民の中で働いた経験はあるものの、移民は私だけという職場環境で働くようになるというのは予想だにしていなかったので、全くの英語環境で本当に大丈夫だろうかといまだに心配ではあるが、まぁそのうちに慣れるだろう。

余談だが、その店の超有名人であるオーナーとの面接時、要求されてはいなかったがCVを持って行ったので渡したところ、私の職歴を見た彼女は、「あなた色々な職業を経験してるのね」ととても驚いていた。それに対する私の返事は、「あなたと一緒でね」(笑)
(面接に行く前日に、インターネットで彼女についての記事を読みあさっておいた結果の返答であった)
彼女は笑いながら、「ええ、全くその通り」と言っていた。年増女性同士の熟れた(こなれた)会話である(笑)


仕事初日の昨日、さっそくディスプレイ用の広告を新しく作り直すことはできるかと聞かれ、また服のほつれを直せるかと言われたので、どちらもお易い御用だと返事をした。
ネイティブのように英語を流暢に喋れるわけでもない私を採用してくれたのだから、私にできることは何でも喜んでするつもりだ。


自分の中の英語の壁を崩せたら、この国でもっともっと楽しく生きられるはずだから、こんなに歳を取ってしまってからではあるが、頑張って新しい環境に入って行くしかない。そう思った初日であった。

苦手な電話の応対が極力ありませんようにと祈りつつ...




24.11.12

手作りのガーデン

ここ数日、日差しが刺すように痛い。



このひと月の間にガラッと雰囲気が変わったベジ&ハーブガーデン。
家族全員がヘトヘトになりながら力を出し合って土を掘り起こし、ブリックを並べ、柵を作りなどして、何も無かった裏庭が見違えるように綺麗になった。

ここまで仕上げてくれた子供達のおかげで、私は裏庭に下りて行くのが日課になった。もうこれでビタミンD不足とはオサラバできるはずである。



今日はこれまで作りためた子供服の幾つかを持って、家のすぐ近くの公園でお寿司を売っている人の所に行き、幾つかの服を差し上げて来た。
お寿司屋さんはとても人情味のあるいい人たちで、お寿司を買いに行くといつも余分に持たせてくれ、今日は更に、夕食を作らなくてもいいほど沢山いただいて帰って来た。
ありがたいことである。


さて、綺麗な庭を眺めながら、ステンドグラスの仕事を再開するとしよう。





22.11.12

マフムートのランチ



少し前、いつものように苺を買いに行くと、マフムート(苺売りのおじさん)が荷造り用のテープで服に付いた犬の毛を取り除いていた。
何か動物を飼っているかと私に聞くので、日本に居た頃は犬を2匹飼っていたと返事をしたが、犬だけではなく、インコ(35羽)、チャボ(2羽)、ウサギ、熱帯魚、亀に加え、何とヤギまで飼っていた時があったことは、英語で説明するのが面倒なので言わなかった。
(農家に嫁いだわけではないのに、動物好きな連合いを持つと大変なことになる)

しばらく犬の話をしていたが、どこでどう話が変わったのか、料理の話題になり、マフムートが自分のランチだと言ってフェタチーズと、ピリ辛のオリーブを見せてくれた。
「食べてみる?」と聞かれると「うん」と言ってしまう私...
遠慮なくフェタチーズをつまみ、オリーブもつまみ、「オリーブは辛いから、これをちぎって一緒に食べた方がいいよ」と出してくれたピタパンもちぎって食べた(笑)

苺を買いに行って、他人のランチを味見するなんて想像だにしなかったことではあるが、外で食べる物はなぜこうも美味しく思えるのだろう。
フェタチーズなどは、以前イスラエリの友人の店を手伝った時にはあまりの臭さに閉口したものだが、恐る恐るつまんだこの写真のものは全く臭くなく、非常に美味しくて驚いたし、あまり好きではないオリーブも、このピリ辛のものは違和感なく食べられた。

私もスーパーマーケットで買ってこようと写真を撮らせてもらうと、「僕も撮っていいよ」と笑っているので、一応写真に収めて来たものの、持っていても何の意味も無いマフムートの写真... 
とても綺麗に歳を取ったというか、歳を重ねて増々いい顔になったに違いないと思える、とてもハンサムな彼は、写真写りも良く、気軽に自分の写真を撮ってもいいよと言えるのが羨ましい。私なんぞ、写真を撮られるのが恐ろしいと感じるほど、歳を取って見苦しい顔になっていると感じているのに、彫りの深いクッキリした顔立ちの彼らはいいよなぁと、平坦な顔の日本人に産まれてしまったことをつくづく残念に思った。


ランチで思い出したが...

私は古い日本人なので、連合いが仕事に出かける時にはいつもせっせとお弁当を作って持たせていた。
ただ、少しばかり変わったところがあって...

ある日お弁当を作りながら、どうもパッとしない彩りが気になってしまい、何か赤いものを入れなくちゃ... と冷蔵庫の中を探したのだが、あいにく赤系の食べ物が見つからず、考えた挙げ句に、赤い折り紙で海老を折ってサランラップに包み、彩りに入れておいたことがあった。
そんなものが入っているとは夢にも思わなかった連合いは、「今日は食えないものが入ってた」と笑いながら帰って来た。

懐かしい想い出である。




「ありがとう」ではなく「すみません」

病院に面会に行き、エレベーターが自分の居る階に来るのを待っている時の光景... 到着したエレベーターから降りる人は、必ずお辞儀をしながら降りてくる。 乗り込む際、最後に入ってくる人もまた、お辞儀をしながら入ってくる。「すみません」と言いながらお辞儀をする人が圧倒的に多い。 また、...