12.12.17

箴言27:11

ー 我が子よ、賢くあって、わたしの心を歓ばせよ。
わたしを嘲弄している者にわたしが返答するためである。ー



同居人達の働く会社は、今年いっぱいで最大手の一つであるクライアントとの契約を終了することになり、その後そのクライアントに匹敵するほどの大手企業との契約を獲得できずにいるため、今年いっぱいで解雇する職員を大量に選び出した。

仕事ができないわけではないのに、長年働いていてそこそこの給料をもらっていたであろう同居人Tの部署の同僚も肩を叩かれた内の一人で、おそらくその給料の多さから首を切られる候補に上がってしまったのかも知れないとTは言っていたが、3週間ほどするとHR(ヒューマン リソース=人事課)のボスの気が変わったようで、今度は「シニアを残して若手を切ることにした」と、TとTよりも後に入った新人をターゲットにした。

HRのボスは、「二人のうちのどちらかに辞めてもらうことになる」という話の中で「仕事ができるかどうかに関係無く人員をカットする」と言い切っていたようで、それを聞いたTは、仕事ができない人を残してどうするんだ?そんなバカなことをしているからクライアントを失くすんだよと、呆れ返っていた。

雇用条件は「仕事ができるかどうかは無関係」と宣うHRのボス... 
そういうことが口から飛び出す人が有能な人に見えるだろうか?頭のキレる人だったら絶対に口にしないだろう言葉だ。裏を返せば、自分が有能ではないのにそのポジションに居座っていられるからこそ、そのような言葉が出て来るに他ならないのだとわかってしまうということすら気付かない、愚か者である。

『有能+責任感』というのは仕事をする上で求められる必須条項だと思っていた私は、「そのHRのボスを真っ先に首にすべきだね」とTに言った。そんな輩が人事を牛耳っているから会社が左前になってしまったに他ならない。
方針が定まらず、取りあえず誰かに辞めてもらわなくちゃというだけのお粗末な人事... それを牛耳るHRのボスが首にならない限り、あの会社は成長することはないだろうし、そんな会社に居ても将来何のベネフィットも無いかもな... と、今回の大量解雇で声を掛けられた職員達は『お先真っ暗』な行く末の会社に見切りを付け、他の会社を探し始めているというのも充分頷ける。

そんな中、同居人Hの関係する部署では親睦会と称して(こともあろうに)ウィークデーの午後3時頃からスタッフ全員で映画鑑賞に出かけ、その後ボーリング+食事会+飲み会で遊び呆けていたようで、もぬけの殻になったその部署の仕事を代行できる人などもちろん居らず、おかげで他の部署の人はその日仕事が滞り、「大量解雇して出費を押さえる傍らで、仕事そっちのけで "会社の経費で" 遊びに出掛けるなどあり得ない」と憤慨している人が多数居たようだ。

私が社長だったら、そのような状況を把握できない人/仕事に対して責任感のほとんどないように見える人たちを先に解雇することを考えるだろうが、あの会社はそうではない。

「一体、年に何回変えれば気が済むんだ?」と憤りを覚えるほど頻繁に、全く必要がないと思える社内の模様替え(大掛かりな工事を必要とする規模)をしてみたり、機能性の低い新品のデスク購入に多額の出費をしたりするのは厭わないのに、社員の給料は最低限に押さえ、会社は緊縮財政だとほざくような会社だ。

一体誰が指揮を執っているのだ?

Tは、明らかに労働基準法に違犯しているHRのボスの解雇工作を指摘し、これと同じケースで裁判で敗訴した雇用主の記録が残っている旨を呈示し、解雇に対する正当な理由を提示してくるよう要求したらしいが、他に考えつく『狡賢い』手口は見つけられなかったようで、労働基準法に違犯しているのを承知の上でTを解雇すると決めたのだそうだ。
解雇理由はただ一つ、もう一人の候補者よりも若干給料が高かったということ。(そんなに年棒を気にするのなら、なぜシニアを残すと気を変えたのだ? Tともう一人の給料を合せてもシニアの給料には追いつかないだろうに...  辻褄が合っていないことすらわからないのか?)

Tの直属のボスは、これまで雇ったスタッフの中でTが最も有能な人材で、おそらくこの先もTを越える人は出て来ないだろうと常に高い評価をしてくれていた。そして、会社の全スタッフのミーティングの折りに、Tを One-man band と称し、一人で何でもこなしてしまう優れた才能を持っているスタッフとして表彰したほど技量を高く買ってくれていたので、当然の如くHRのボスの裁決に異議を唱え続けていたらしいが、現場の意見はことごとく無視された恰好となってしまった。

今回解雇には至らなかった新人は、自分が "ただ単に給料が安かっただけで残された" ということをどう受け止めているのだろうか?
「会社があなたを雇っているのは、安く済むからだよ」と正面切って言われたら、この先も給料はほぼ上がらないと思って間違いない。
更に、今月いっぱいで会社の契約駐車場が無くなるらしく、残った職員はほぼ倍額を支払って少し離れた所にある一般駐車場を借りなくてはならなくなるようで、「実質的な賃金カットだ」と、辛うじて残った職員からも不平不満の声が上がっているとのこと。
明らかに落ち目になった "かつて" の大手企業がこの先生き残れるかどうか、見ものである。

ちなみに、Tの現場でフリーランスのワーカーを短期雇った場合、一日NZ$800〜$2,500支払われるのが相場の職種だとのこと。最低でも一日 ¥62,000 強の稼ぎになるわけだが、多くのフリーランサーは NZ$800 で仕事を受けると言うと質を疑われるらしく、高額を提示した方が雇われる確率が高くなるらしい。だが、一日 ¥194,000強 も稼ぐ人がかつて職場に来て仕事をしていたが、別に仕事が早い訳でもなく、仕事内容は何ら変わりが無かったとTは言っていた。(Tにフリーランサーになることを勧める同僚が圧倒的に多いのは、オバカな会社に振り回されることに皆嫌気がさしているからだろう。しかも、安い給料でだ)

自分に全く非がないのにも関わらず解雇通告されたTは、sick leave を何十日も残したまま、今週いっぱいであの会社を後にすることになる。


昨年末か今年始め、会社のNo.2 だった人が首になった。
正真正銘の "チャラ男"(無節操男) だったことは誰もが知っているが、その節操の無さを見るに見かねた社長が、全職員の前で実体を明らかにし、反論の余地無く首切りに至ったとのこと。
しかし、それからというもの、大きな仕事が入って来ていない。それどころか、今までのクライアントも失い始めている始末だ。

どのような方法を取ったにせよ、チャラ男に匹敵するほどの実績を挙げられる人が居ないというのは、裏を返せばその業界がモラルの上に成り立っていないということに他ならないかのではないかと、そんなことをふと考えた。

そんな会社にしがみついている価値は無いだろう。また、そのような業界のために心血を注ぐ意味も無いだろう。

「きっと、他にもっと良い所があるってことだな」

超ボジティブな私たちは、Tの解雇を憂いること無く、次にTが歩むことになっている道が目の前に現れる日を、楽しみに待っているところだ。



これは人生に於いて『最悪』なことではない。
私たちはもう既に、人生に於いて最悪なことを経験してしまっている。
私たちはその最悪な状況を、必死で歯を食いしばって乗り越えて来たのだ。

こんなことでは潰れない。




余談だが、Tの名前は冒頭の聖句から付けられた名前だ。
その名の通りに成長してくれていることを、私は心から誇らしく思っている。


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