28.10.23

「新しいエクソシスト観た?」

 一番最初のエクソシストが日本で封切られたのは、私が高校 2 年か 3 年の時だった。
観に行こうと誘ってくれたのは仲の良かったクラスメイトの I 君。

彼とは何故だかいつも一緒で、下校時に駄菓子屋『お菊さん』に寄り『ところてん』(自分で棒状のところてんを突いて食べる、セルフサービスのおばあちゃんの店だった)を食べたり、I 君の暮らす市で働く母とランチを食べる約束をしている時には、約束の時間まで、駅ビルにあった『サモワール』というカフェでコーヒーを飲んだりして過ごしたりもし、偶然にも、放送委員も一緒に何期もつとめたりもした。

昼は放送室で一緒にお弁当を食べ、帰りも一緒。おまけに映画にも一緒に行く(エクソシストだったが)という仲だったのに、誰からも付き合っているだろうと噂されたことのない私たち...
少し前に観た『プラトニック』という映画を思い出させるような、健全と言うにふさわしい関係だったのだ。

あまりに昔のことで、どこの映画館だったのかさえも忘れてしまっているが、昨日、新しいエクソシストを家で観終わって直ぐに頭に浮かんだのは I 君のこと。
彼に「ねぇ、新しいエクソシスト観た?」と心の中で聞いていた。

高校を卒業してから彼に会ったのは確か 2 回...
一度は卒業後数年して行われた同窓会で、そして 2 度目は、私達が特に仲良くしていたクラスメイトの女の子のお墓参りだった。彼女は出産直後に亡くなってしまったと、何故だか I 君は知っていて、私に電話をくれ、車で迎えに来てくれた。

彼女の家まで行き、お墓の場所を教えてもらい、お花を供えてきたことは覚えているが、道中何の話をしたのかはまるで憶えていない。

今度日本に帰ることがあったら、会ってみたいなとも思っている。
連絡先は、多分私の姉の友達だったらわかるだろう。(姉の友達は、偶然にも、かつて彼の親が経営する幼稚園で働いていたことがあり、彼と私がクラスメイトで、しかも仲が良かったことを彼から聞いて知っている)




6.10.23

25 年

2日前、オークランド ドメインの桜はまだ七分咲きという感じだったが、既に黄緑色の葉が出て来ていた。
5 年前、家族全員で行った時には、見事なまでに満開だったことが、懐かしく思い出された。



彼の人が居なくなってから 25 年が経ち、私はグレイヘアになり、子供たちは皆大人になった。

25 年... 本当にいろいろな事があった。




4.10.23

Rest In Peace

 10 月 1 日夜、長男の愛犬が息を引き取った。
とても可愛く、おとなしいイタリアン グレイハウンドだった。

その日、私は Line で長男に、今年は彼の人が居なくなって 25 年が過ぎることになるが、25 年という節目に予定していたイベントは中止することにしたと伝えたのだが、長男は愛犬が 2 週間ほど前からほとんど何も食べなくなり、ガリガリに痩せてしまって、歩くこともままならなくなっていることを、その時初めて私に話してくれた。

動物病院で診てもらっても、痛みは無いようだが、貧血症状が出ていることしかわからず、また、検査しても治療法があるかどうかも明言出来ないとのことで、自宅で栄養剤を投与する道を、泣く泣く選んだということだった。

「持ち直すといいね」という私の言葉は、その数時間後に虚しい祈りとなってしまった。

「...  死んじゃった」

その短い一言が、長男の辛さを痛いほどよく物語っていた。




私はただ、一日も早い長男の精神面の回復を祈ることしかできない。


「ありがとう」ではなく「すみません」

病院に面会に行き、エレベーターが自分の居る階に来るのを待っている時の光景... 到着したエレベーターから降りる人は、必ずお辞儀をしながら降りてくる。 乗り込む際、最後に入ってくる人もまた、お辞儀をしながら入ってくる。「すみません」と言いながらお辞儀をする人が圧倒的に多い。 また、...