26.2.13

客商売 その2

昨日、つい先頃までいっしょに働いていた(といっても、たった2ヶ月間だったが)パメラから電話が来た。
「あなた知ってるかしら、私達が居た店の向い側の店でアシスタントを募集してるのよ。もしまだ次の仕事が見つかっていないようだったら、この仕事はあなたにピッタリだと思うんだけど、興味ない?」と...

私はその店のオーナーともスタッフとも8年来の知り合いで、オーナーがどんな人材を必要としているのかをよく知っているので、パソコンのスキルに関しては問題無いだろうけれども、接客、ことにエクセレントな英語を喋れるかということについては、残念ながら私はまったく自信が無いとパメラに伝え、私なんかよりもパメラの方がずっとその仕事に向いていると思うと付け加えた。
しかし... しかしだ。あの人間的にとてもできたオーナーは、どういうわけだか若いネイティブしか雇う気が無いというのも、私はよく知っている。

高級品を扱う店であるのに、いかにも『今どきの若い女の子』という感じの子を雇うというのはいかがなものかと、私などは慰問に思ってしまうのだが、あのすこぶる頭のキレるオーナーがあえてそうしているということは、おそらく品格のある年配の店員よりも、キャピキャピした若い女の子を"客が"欲しているということなのだろうなと、ついつい邪推してしまった。

日本のように、『若い子だったら安くこき使える』というような考えではないことは、給料の額から容易に理解できる。店員の仕事にしたら出し過ぎでしょうと思われるほどの給料なのだ。

ある程度のお金持ちが客層であることを考えると、そのお金持ちの(特に男性)を喜ばせるのに必要なのは、薹が立ったようなおばさんではなく、若くて見栄えのいい子ということになるのだろうなと、そんなことを考えてしまった。

一般的に、商品を売るのに何の技術がいるわけでもなく、ふさわしい品格も必要ではなく、ただ若くて綺麗なだけでいいというのは、まぁ客商売を営む側からすれば、御託をこねる年増のスタッフよりも確かに使い易く、気楽であるというのはわかるが、果たして、そういう基準で選ばれた方は嬉しいのだろうか? 「あなたの頭の中身はまったく問題じゃないから安心してね」と言われているようなものだぞ...

幸いにも、前述のオーナーは理想が高く、若くて見栄えがいいだけでは満足せず、頭の回転も早いことを選考基準としているようで、その点に関しては私の彼に対する認識を大きく覆すものではなかったが、それにしても、やはり、扱っている商品に対して店員が若過ぎるのではないかという違和感は依然として私の中に残っている。


さて、電話をくれたパメラだが、彼女はいまだに、働いていた店のオーナーだった人からホリデイ・ペイ(休日出勤分の割り増し賃金)を受けとっていないようで、こんなにラチがあかないと労働調停に持って行かざるを得なくなるかも知れないと嘆いていた。
難儀なことである。

パメラ自身も次の仕事を探している身であるのに、いつも私のことを気にかけてくれていて、事ある毎に声を掛けてくれる。本当に心の温かな良い人である。
働きに出た一番の収穫は彼女と知り合いになれたことだったなと、つくづく思った。



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