31.10.17

日本とNZとの違い

一年も前の話になるが、日本に居る長男に小包を送った。最も速く、最も高い運送料を支払ったのに、NZ国内から出て日本に着くまでに何と4日もかかっていた。毎日直行便が出ているのにも関わらず、経由便で最も高い運送料を支払った荷物を送るのか?この国の郵便局は...

22日 1:57pm 荷物引受(NZ Post / Auckland)
23日 7:10am 国際交換局に到着 (NZ / Auckland)
23日 7:21am 国際交換局から発送

で、何故か、オークランドを出てから日本に着くまでに4日間を要し…

27日 0:27am 国際交換局に到着 (東京)、
同日 4:30am 通関手続中、
同日 9:41am 国際交換局から発送、
同日 1:02pm 配達局に到着、
同日 6:42pm 配達

まぁ、配達先が東京都内ということもあるだろうが、荷物が日本に到着してから税関を通過し、配達取扱い郵便局に渡され、それが仕分けされて配達されるまでに18時間15分しかかかっていないことに驚いた。荷物が日本に到着したその日に受取人に配達されているのだ。

同居人Hが日本に滞在していた時に、Amazonに注文を入れた物のほとんどは翌日きっちりと配達され、配達時間も夜8時頃までと長く、正に"勤勉な日本人"を象徴しているよなと感心したものだ。

さて、こちらの国はどうかと言うと…

この国に15年近く住んでいるが、夜間配達など聞いたことはない。
夕方5時までに届かなかったら、その日には絶対に来ないと断言できる。
国内の、しかも同じ市内であっても配達に3日以上かかる場合もザラである。

また、土曜配達指定されていない荷物も、配達人の都合だけで『土曜配達指定』というラベルを貼られて送られて来ることがままある。その週の月曜には届いていて然るべきものも、勝手に土曜配達指定になってしまっているというのは、受け取る側に取っては全くもって嬉しいことではない。

更には、家に人がいたのにも関わらず、ベルも鳴らされず、ドアも叩かれず、不在通知を置いて行かれることがあり、再配達指定できない(遠くまで受け取りに出向く選択肢しかない)のは言語道断だ。しかも、受け取りは午前中のみなどといったあり得ないほどごう慢な商売をしているのは他ならぬ NZ Post である。

最近の NZ Post の質の低下には辟易するばかりだ。


ちなみに、同居人Tの荷物は昨年クリスマス前にNZに届いていたのに、やる気があるのか?!と聞いてみたくなる運送会社TNTは、年内に配達しないどころか、年明けの6日になっても関税支払いの通知すらよこさず、トラッキング番号を追跡すると、配達予定日は昨年12月23日を皮切りに、頻繁に(=好き勝手に)変更され、表示される"配達予定日"というものが全く意味をなさないものになっていた。
一体どうなっているんだ??と業を煮やした同居人は、翌週直接営業所に出向き、その場で関税を支払い、荷物を受け取ってきた。
連絡の一つもよこさず、配達もしていないのに、運送料+手数料はしっかりと徴収するという、とんでもない企業である。
働いている人がそんなイイカゲンな仕事をしていられるというのは、ボスがだらしのない人だということに他ならない。
このような事例は例外ではないようで、その会社の評価は当然の如く低く、ネガティブなフィードバックが多く書かれていたとTは言っていた。

流通システムがしっかり構築されていないというよりも、仕事に対する姿勢が根本から違っているように思えてならないのは、私だけではないだろう。

(度々利用するオークションサイトでのクーリエ予約は、ピックアップ予約日に来たのはたった一度だけ... 翌日ピックアップに来るのか確証の無いままで放っておけない私は、毎回々「予約日の今日取りに来なかったけど、明日はちゃんと来てくれるのか?」とカスタマー サービスに email を送らなければならない。予約日翌日のピックアップが不可能ならば、翌日予約を指定できないようにしておくべきである。この場合はシステムがお粗末だと言わざるを得ない。)


こちらで大きな地震が起きた後、日本の迅速な災害復旧のことが取り上げられ、「何故日本にできて我が国にできないのだ」と、この国の政府の対処の遅さに国民から不満の声が上がっていたが、正直言って、この国では迅速な復旧工事を望むのは無理だろうと私は思う。

日本には、家庭を差し置いても会社のために働くという人がいまだに多いように思えるが、この国でそのような人に出くわすのは容易なことではないだろう。

日本では、何時でも何処でも時間厳守な割に、規定時間内しか働かないという勤め人は滅多におらず、時間外労働に制約が無いようにさえ思える。要するに、全てにおいて"時間厳守"な訳ではなく、全てが力関係の強い側に有利にできているということに他ならないということだろう。それは、責任を持って仕事をこなすという面では大きなプラスに働いているに違いないが、個人の生活はほぼ『ないがしろ』にされているわけである。

個人の生活をないがしろにして会社のために働いている人が、この国にどれくらいいるのかわからないが、個人の生活をないがしろにしないまでも、自分がきちんと仕事をしないことによって迷惑を被る人がいるということを少しは考えたらどうだと言いたくなることが多々ある。


以下は同居人の働く会社の様子…

*日本での始業時間というのは、会社で仕事を始める時間だが、ウチの会社では、会社に着いて朝食を食べ始める時間になっている。始業時間は、朝食を食べ終わり、30分以上も経ってからだ。(しかも、無料の簡単な朝食も会社が用意している)

*日本で言うランチの時間というのは、仕事を休憩している時間であって、職場を離れる時間から職場に戻る時間までのことだ。単に"ランチを食べている時間"ではない。
おまけに、ランチ時にアルコールを飲んでまた仕事に戻ることなど、日本ではあり得ないだろうが(そんなことをしたら即刻クビだろう)、ウチの会社では何の後ろめたさも無く、正々堂々と昼間からビールだのワインだのを飲み、1時間以上掛けてランチを取ってくる。また、それを咎める上司など居ない。

*金曜日の午後は週末モード全開で、ランチ時にアルコールを飲まない人の方が少ないのではないかと思えるほど。焦って仕事をしている感がまるでない人が多く、夕方4時過ぎになると会社内でビールやらワインを飲んで終業時間まで雑談している人が結構な数居る(会社内にアルコール専用冷蔵庫を備えている)というのは、別に驚くことではない。一杯やりながらデスクで仕事をしている人も居る。

*頑張れば今日できることは、頑張らずに明日やることにする人が多い。

*「今日やらなければならないことが終わってしまっていて、他にすることが無ければ家に帰っていいよ」と、所属する部署のボスが声を掛けてくれることもあり、当然『早退』扱いにもならず家に帰れることがある。

*他の部署の人が必死で仕事をしていても、自分の部署が暇だったら外で卓球をしていたりして遊んでいられる。(自分のデスクでYouTube を観ている人も多い)

*部署の『親睦会』を普通の日の昼間行い、その部署のスタッフ全員が居なくなってしまうことがある。(クライアントからの急な連絡が入ろうが一向におかまいなく、親睦会を優先することができる)

*毎日余裕を持って仕事をしている人がほとんどなのに、週末になってようやくやらなければならないプロジェクト(突然入ったものではなく、かなり前からわかっているプロジェクト)に手を付け始め、無給で人を借り出すような、全く計画性のない上層部がけっこう多い。

*多くの人の机の引き出しの中にはお菓子が入っていて、四六時中お菓子を食べながら仕事をしていてもオトガメ無し。(同居人の引き出しの中にもお菓子が入っていることが多くなり、日本のお菓子を食べていると、所属する部署のボスがやって来て、「何食べてるの?」と声を掛けつつおすそ分けを喜んで食べていくこともあるらしい)

*ラグビー ワールドカップやら、オリンピックになると、朝から会社備え付けの大きなスクリーンの前に陣取って、仕事そっちのけで応援/熱狂している人が多い。

*海外で行われる大きなラグビーやらヨットの試合は、時差の関係からNZの深夜、或は早朝に行われる場合があり、その翌日は、職場で "病欠" する人が大量発生することを誰もが知っている。(これは、この会社に限らず、国内全般で言えることのようで、新聞にもよく書かれる話題である)

これらはとある会社内の様子のほんの一部でしかないが、たったこれだけの事柄を見ただけでも、日本とNZの『仕事に対する感覚の違い』がよくわかるだろう。

生き方そのものが、根本的に違うのだと私は思う。


このNZで、日本のような迅速な復旧工事を期待できると思うか?
私も、同居人たちも、声を揃えてNOと言うのは間違いない。


14.10.17

"取りあえず作った" 物

常温保存できる野菜類+スーパーマーケットのビニール袋を収納しておくためのキャスター付きストレージ ボックスは、余っていた合板の端切れのみで作ったのだが、18mm厚の板は天板、中仕切り、底部分に使えるだけしかなく、12mm厚の板は継ぎ接ぎして何とか側面を張れるだけの量しか無かったため、7mm厚の合板をダブテイル ジョイントやらハーフ ラップ ジョイント等々を使って、強度を保たせた組み立てにし使うことにした。

全く見えない箇所にハンド カット ダブテイル ジョイントを施し、見える所はねじ釘とdowel(だぼ)で超初心者仕上げ... 誠にお粗末にしか見えない作りである。


これに最初は渋い緑色を塗ったのだが、キッチンに使われている緑と全然違い、非常に違和感があった為、dark oak のステインを上から塗ったら遥かにマシになった。


キャスターを付け、キッチンに運んでみると、艶が無さ過ぎてしっくりこない...

またアトリエに持ち帰り、セミグロス の水性ウレタン ヴァーニッシュを数回重ね塗りし、ようやく出来上がり。


万が一野菜が傷んで汁が出てしまった時のために、簡単に引き出せる汁受けトレイ(大掃除で出てきた、使われることの無かった蓋無しキャセロール)を差し込み、下には長い間にたまったスーパーマーケットのビニール袋を入れ、


そして上には取りあえず玉ねぎやらジャガイモやらを放り込んでおいた。


トレイ用の穴が空いているので、通気性に問題はないとは思うが、暑くなって来たら上の蓋を開けておけば大丈夫だろう。


蓋を閉めれば簡易テーブルにもなる。(ここにヒンジを付ける予定ではなかったのだが、余った18mm厚の板がこれしか無かったので、苦肉の策でこのようになった)


キャスターのストッパーは、ビニール袋入れの扉のストッパーにもなっていて、開き過ぎてしまうことはないが、今のところ扉はパタンと倒れてしまうこと無く、どんな角度でもしっかり止まっている。
開け閉めは非常にスムースで、きつくも緩くもない。扉がしっかり閉まっているようマグネットを付ける予定だったが、マグネットを付ける必要は無いかも知れない。(夏の乾燥した時期になってみないとわからない)


ペイントを乾かす間、垣根の剪定をし、裏庭の草取りをしていたら、夜には腕がダルくて仕方なかった。

さて、次は何を作るんだったかな...


13.10.17

Keepsake Box

部屋の片付けをしていると、細々とした『棄てられない物』が出て来る。それらには想い出と深い思い入れがあるためだ。

自分の存在を否定してしまえばそれらを大切に保管しておく必要も無くなるのだろうな...と、そんなことを考えながら、棄てられない品々をしばらく眺めていた。

収納スペースの極めて少ないこの家に、これまで幾つかの下駄箱やら棚やらキャビネットを作ってきたが、それでもまだ収納し切れておらず、掃除をしながら「ここに棚を作って、あそこには移動式のキャビネットを作って...」と、必要な物のスケッチを書き留めておく毎日だった。

借家なので、棚等を壁に打ち付けることは極力避けている。そのため、空きスペースにぴったり納まるサイズの据え置きタイプのものをデザインしなければならず、独自にデザインし、強度を考え、見た目を考えなどしていると、時間ばかりがどんどん過ぎて行ってしまって、一向にプロジェクトが進んでいないように思えて来る。
そして、焦りが出て来る。

取りあえず早急に作らなければならないものを焦って作るとどうなるか... 
使う板は合板になり、板をカットするのはcircular saw(電動丸鋸)、ジョイントは dowel (だぼ)だのねじ釘となる。
機能的には問題はないものの、『当座を凌げればいい』という程度の超簡単な作りで、"仮に" 作った感満載の仕上がりになるのだが、悲しいことにほとんどの場合それをしっかり作り直したりすること無く終わることになる。

最近作っている物のほとんどがそのような誇ることのできないシロモノで、「まぁ、借家だからな」と半ば諦めて作業をしているわけだが、この先も家を買うことがあるのだろうかと考えると、その可能性は極めて少なく思え、生涯をこの粗末な合板の家具と共に暮らすことになりそうで、ちょっと笑えるなと思った。


Keepsake Box を作ろうと買っておいた American Walnut と Oak の板がある。
American Walnut は鉋がけのし易い Hardwood で、色は sapwood(辺材/白太:樹皮に近い部分)はクリーム色、 heartwood(心材:樹木の材の中心に近い部分)は薄茶色〜濃いチョコレート色、そして濃い紫がかった茶色の細い線が通っていることもある。私の好みの木材だ。
それらを使って、"ステンドグラス従事者の(作る)" keepsake box を作るつもりなのだが、いつになったら取りかかれるのか、目処が立たないまま一月過ぎてしまった。


数年前、私の作ったイスラム模様のランプの写真を見て、雲の上のお師匠さんは "woodworker の(作る)" ランプを製作したことがあった。
彼は琥珀色でテクスチャーのある透けるガラスを使っていたが、私の使ったガラスは、琥珀色にクリームがかった茶色が混じった半透明なもので、灯りを点けると琥珀色に輝くものだった。


まだ木工を初めて日が浅かったために、スクロール ソーで切り出した模様は凝っているものの、組み立てに関しては簡単な作りで、今だったらもっとマシなものを作れるのにな... と、見る度に思ってしまうのだが、それでも一生懸命に綺麗に仕上げようと、その時点では最大限の努力をし、頑張って作っていたのだ。

私は琥珀色が一番好きだと、どこかに書いたことがある。
今でも変わっていない。



さて、どんな Keepsake Box を作ろうか...

あと少し家に必要な物を作ってから、ゆっくり考えることにしよう。


11.10.17

How To Work With Chainsaws 2



良いお父さんだ。

このビデオを観ていたら、小さい頃父親を失った子供達が心底不憫に思え、涙が溢れた。


9.10.17

私たちの新年

先週末、私たちだけの新年が明けた。

彼の人が居なくなってから19年が過ぎ、この10年で『NZでの全く変わり映えのない生活』にどっぷり浸かってしまった私たちは、特別この日に皆で食事に出掛けることもしなくなってしまった。

クリスマスは勿論のこと、元旦も祝わず、お盆も無く、誕生日もどうでもよくなっているこの家は、世間の各種催し物とも無縁で、他人から見たら、この世に居ながらこの世のものでない集団に見えるに違いない。

今朝 iCal(カレンダー)が「今日は体育の日だよ」と教えてくれた。
体育の日って、10月10日じゃなかった???
いつからアップデートされていなかったのかも定かでない私たちのおぼろげな記憶は、どんどん、どんどん時代遅れなものになって行き、日本に居る家族との『感覚的な距離』も増々広がって行くように思える。


来年の "新年" は、残された家族が無事20年過ごせたことに感謝して、とびきり美味しいものでも食べに行くとしよう。
彼の人の写真を持って...


「ありがとう」ではなく「すみません」

病院に面会に行き、エレベーターが自分の居る階に来るのを待っている時の光景... 到着したエレベーターから降りる人は、必ずお辞儀をしながら降りてくる。 乗り込む際、最後に入ってくる人もまた、お辞儀をしながら入ってくる。「すみません」と言いながらお辞儀をする人が圧倒的に多い。 また、...