13.10.17

Keepsake Box

部屋の片付けをしていると、細々とした『棄てられない物』が出て来る。それらには想い出と深い思い入れがあるためだ。

自分の存在を否定してしまえばそれらを大切に保管しておく必要も無くなるのだろうな...と、そんなことを考えながら、棄てられない品々をしばらく眺めていた。

収納スペースの極めて少ないこの家に、これまで幾つかの下駄箱やら棚やらキャビネットを作ってきたが、それでもまだ収納し切れておらず、掃除をしながら「ここに棚を作って、あそこには移動式のキャビネットを作って...」と、必要な物のスケッチを書き留めておく毎日だった。

借家なので、棚等を壁に打ち付けることは極力避けている。そのため、空きスペースにぴったり納まるサイズの据え置きタイプのものをデザインしなければならず、独自にデザインし、強度を考え、見た目を考えなどしていると、時間ばかりがどんどん過ぎて行ってしまって、一向にプロジェクトが進んでいないように思えて来る。
そして、焦りが出て来る。

取りあえず早急に作らなければならないものを焦って作るとどうなるか... 
使う板は合板になり、板をカットするのはcircular saw(電動丸鋸)、ジョイントは dowel (だぼ)だのねじ釘となる。
機能的には問題はないものの、『当座を凌げればいい』という程度の超簡単な作りで、"仮に" 作った感満載の仕上がりになるのだが、悲しいことにほとんどの場合それをしっかり作り直したりすること無く終わることになる。

最近作っている物のほとんどがそのような誇ることのできないシロモノで、「まぁ、借家だからな」と半ば諦めて作業をしているわけだが、この先も家を買うことがあるのだろうかと考えると、その可能性は極めて少なく思え、生涯をこの粗末な合板の家具と共に暮らすことになりそうで、ちょっと笑えるなと思った。


Keepsake Box を作ろうと買っておいた American Walnut と Oak の板がある。
American Walnut は鉋がけのし易い Hardwood で、色は sapwood(辺材/白太:樹皮に近い部分)はクリーム色、 heartwood(心材:樹木の材の中心に近い部分)は薄茶色〜濃いチョコレート色、そして濃い紫がかった茶色の細い線が通っていることもある。私の好みの木材だ。
それらを使って、"ステンドグラス従事者の(作る)" keepsake box を作るつもりなのだが、いつになったら取りかかれるのか、目処が立たないまま一月過ぎてしまった。


数年前、私の作ったイスラム模様のランプの写真を見て、雲の上のお師匠さんは "woodworker の(作る)" ランプを製作したことがあった。
彼は琥珀色でテクスチャーのある透けるガラスを使っていたが、私の使ったガラスは、琥珀色にクリームがかった茶色が混じった半透明なもので、灯りを点けると琥珀色に輝くものだった。


まだ木工を初めて日が浅かったために、スクロール ソーで切り出した模様は凝っているものの、組み立てに関しては簡単な作りで、今だったらもっとマシなものを作れるのにな... と、見る度に思ってしまうのだが、それでも一生懸命に綺麗に仕上げようと、その時点では最大限の努力をし、頑張って作っていたのだ。

私は琥珀色が一番好きだと、どこかに書いたことがある。
今でも変わっていない。



さて、どんな Keepsake Box を作ろうか...

あと少し家に必要な物を作ってから、ゆっくり考えることにしよう。


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