5.9.17

使うべきか、使わざるべきか... Micro-bevel / Secondary-bevel


secondary bevel 又は micro bevel と呼ばれる、刃先のほんの少しを角度を変えて研ぐ方法を、雲の上のお師匠さんは推奨していない。

私もこれまでは雲の上のお師匠さんのやり方で満足していたのだが、hardwood を扱うようになってから、シャープに研いだばかりの刃を使っても逆目で鉋をかけたような部分を作ってしまい、キャビネット スクレイパーのようなものを使わない限りは綺麗にならないのか?と、最近 hardwood の鉋がけがけっこう大きなストレスになっていたのだ。

いよいよ思い余って、逆目対策の一つとしてあげられていた Micro-bevel / Secondary bevel (小刃どめ)を Stanley の鉋刃で試してみることにしたのだが(さすがに父の使っていた日本の鉋では試したくなかったため)、この The ruler Trick と呼ばれている方法で鉋刃を研ぎ、purpleheart などの hardwood を削ってみると、これまで逆目で鉋をかけてしまったかのようにざらついてしまっていた面も全く問題無く鉋がけできるようになって、こんなにも違いがあったのかと、正直驚いた。

この 鉋刃の裏に micro-bevel を施すことを、邪道だ、そんなことはすべきではないと真っ向から反対する人々も多いようだが、実際に試した私は、何故そんなに反対の声が大きいのか更にわからなくなって来た。

西洋鉋の micro-bevel についての色々な意見を読み漁った後に、日本の鉋についてはどうだろうと調べてみると、小刃どめ及び糸裏についての記述が幾つかあった。
小刃どめについては、実は父の使っていた鉋刃にもそれらしい形跡のあるものが幾つかあったので、小刃をつけることに私は抵抗はないが、父の研いだ刃物のほとんどは、bevel 側が真っ平らではなく、若干ふくらみをもたせた刃であったので、父はおそらく『蛤刃』と呼ばれている形に近い研ぎ方をしていたのだろうと、今更になって思った。

ブレードの裏を極少量、ほんのわずかに削り落とすというのが、日本の『糸裏』と全く同じ考えの元になされているのかどうか定かではないが、状態は同じようなもののように思えなくもない。

それらの情報のおかげで、私は漠然と抱いていた罪悪感のようなものが無くなってきたわけだが、そこまで調べると、今度は「何故雲の上のお師匠さんは micro-bevel をあれほど否定していたのだろう」と、そちらの方が気になり出し始めた。

とは言え、雲の上のお師匠さんも、刃を付ける際に若干ふくらみを保たせることは否定しておらず、真っ平らに研ぐよりもかえって好ましいという発言をしていたことがあるのを私は記憶しているので、これからは意識してそのように研ぐよう心掛けることにしようと思った次第である。


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