22.6.21

苦境に喘ぐ(?)土産物屋

 少し前、ふと目に入った NZ Herald の記事...



世界的なコロナウィルス蔓延のせいで、海外からの観光客が途絶えて久しい街の土産物屋は、生き残るのが厳しくなっている。

大方の土産物屋が扱う商品の大半は、俗に言う "ばら撒き土産" で、言わずと知れた中国製である。(土産物屋を経営するのは圧倒的に中国人が多いのも肯ける)


旅費(フライト チケット代、宿泊費、食事代、運賃、各種アクティビティ代等々)が相当かかるため、ばら撒き土産になんぞお金をかけていられないというのはよく理解できるが、どの国で買っても中国製で、買う意味があるのか???と、眉を顰める人も少なからず居るのも確かだ。

...


と、ここまでは記事を見た一般の人が抱くだろう感想(いや、一般の人が抱くものとはちょっとズレているかも知れない...)を書いてみたが、私は、咄嗟に、「この人知ってる!」と思い、その人物に会った当時の記憶が鮮明に脳裏に浮かんだ。

その人物を紹介してくれたのは、私が半年ほどお世話になったアンティーク修復スタジオのボスで、修復スタジオで働くことを断念し、また元のステンドグラスの仕事に戻った私を応援するために、元ボスが好意で、私の作品を知り合いの土産物屋で販売してもらったらどうかと持ちかけてくれたのだ。

修復工房のボスは、腕前も際立って優れていて、手作業には時間がかかることを痛いほど知っており、尚且つ非常に人情味あふれる人だったが、連れて来てくれた土産物屋の店主は残念ながらそうではなかった。(ここにその時のことを書いていたので、今回は割愛するが...)

正にその人物が記事に載っていたのを見て、私が最初に思ったことは、

これまでたんまり儲けて来たのだから、政府の補助なんて要らないだろうが... 彼には高級住宅街に超豪華な家があり(更に、賃貸し物件を一軒も持っていないとは考え難い)、資産は相当なものだろう。これまでのような莫大な収入は望めないだろうが、少なくとも、生活するのに苦しんではいないはずだ。

真面目に骨身を惜しんで働いているのに、それでも困窮している低所得者層や、事業主からの一方的な突然の首切りで職を失い、満足に職に有り付けないで打ちのめされている人々にこそ援助の手を差し伸べるべきだ。

貧困に喘ぐ人々の暮らしに一瞬でも目をやる気持ちがあれば、自分の "窮状" を訴えて政府の補助を嘆願するのはおこがましいことだと気付いたかも知れない。そう、そこには、彼が最もよく知っている "一見うまい話" を持ち掛けられて、まんまと搾取される気の毒な人々の姿も、予想を遥かに超える低賃金で働かざるを得ない人々の惨めな姿も間違いなくあることを、彼は誰にも増してよく知っているはずだからだ。



彼が、豪邸を売り払って粗末な借家に移り住み、違法な最低賃金以下の給料しかもらえなくなった時のために、顔と名前だけはぼかしておいた。(明らかに、気休め程度だが)

そんな日はおそらく訪れることはないだろうが...


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