天敵が、おそらく私に収入を得させようとしてのことだろうとは思うが、私が以前作ったステンドグラス スタジオのサイン(天敵が名付け親)を、知り合いになった同じ名前の女性が欲しいと言っているのだが、売る気はあるか?と聞いて来た。
あのサインには深い思い入れがあるから、売る気はないと返事をすると、それでは新しく作ってくれるかと言う...
金額はいくらくらいになるかと聞かれ、サイズとデザイン、使用するガラスの価格によって違ってくるので、一様にいくらとは返事ができない旨を話すと、ステンドグラスについてはほぼ何も知識が無いと思われる彼は、「最も安いガラスで、サイズも小さなものでいい」と言って来た。
デザインに要する時間も、ガラスを一片一片 手でカットし、その後エッジをグラインダーで削る手間も、デザイン通りに形を整えたガラス片の周囲に銅のフォイル(粘着テープ)を巻き、それを木べらでしっかり密着させる作業がどれだけの時間を要するかも、彼はきっと何も考えていないだろうと察しが付いた。
ハンダ付けをする際にも、ハンダを銅のフォイルの表面に乗せるだけではなく、接着面全体に行き渡るように注意しながらの作業になり(裏面にハンダが流れ出すように熱を加えるのが正解 ー そうしないと接着面が脆く、崩れ易くなる)、簡単に見えるかもしれないが、強度を保つのと同時にハンダ面を綺麗に整えるのに、結構神経を使うのだ。しかも、ハンダの価格は信じられないほど高いときている。
私は、彼が安く手に入ると踏んでいただろうことに無性に腹が立ち、材料費はいくら位で、レイバー フィーはいくら位になると思うよと、彼が驚くだろう金額を伝えた。
(それでもレイバー フィーはかなり安く見積もってあり、おそらく最低賃金の半分以下になるはずだ)
彼は、その女性に連絡を取ってからまた返事をすると言っていたが、その高額なパネルを送るのに更に高額なイスラエルまでの輸送費がかかることを想像できる人であれば、十中八九、注文はしてこないだろう。
自分を卑下してまで手に入れたい仕事ではない。
これまで、既製の物を右から左に動かして収入を得るというビジネスをして来た天敵には、一つ一つ自分の手で時間をかけて作った物を、細々と売って家計の足しにしている私のような者の心情は分かりかねるのかも知れない。
「いつか分かり合える時が来るよ」
20 年近く前に彼が空港で言った言葉を思い出し、「そうかな?」と、今でも思ってしまう自分がいる。
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