22.5.13

あ〜 やだやだ

かなり以前のことになるが...

同居人の(こちらで唯一の)日本人の友達がひょっこりやって来た。
以前はよく彼が遊びに来ると一緒にイタリアン・レストランに繰り出し、のんびりと世間話に興じるのが常であったが、昨年11月に一人目の子供が産まれると、さすがに彼だけディナーに出てくるわけにもいかなくなったようで、何かの用事で街中に出てきた際にちょこっと寄るという程度の付き合いになってしまった。

彼は案の定疲れ切った顔をしていた。
中国人の奥さんには出産前からご両親がサポートに来てくれていて、既に半年間、たいして広くもない借家に同居しているらしいのだが、産後の肥立ちがよくないというわけではないのに、未だ奥さんは子供の面倒をみる以外家事はほとんどせず、彼が仕事から帰ってくるとやれ掃除をしろ、食事を作れ、洗濯をしろ、子供をお風呂に入れろだのと、次から次に要求してくるというのだ。ひどい時には、仕事中に「家に帰ったら洗濯してよね」と携帯にテキストメッセージまで送ってくるらしく、それを聞いた私は彼女の凄まじい執念を恐ろしくさえ感じた。
何でも、彼女の友達の家庭では男性がほとんど全ての家事を行うのは当然のこととなっているらしく、こんなに何もしてくれない夫(実際にはけっこう積極的に家のことをしているように私には思えるが)など言語道断だと毎日々とがめられているのだとか...  すっかり意気消沈してしまった"日本男児"は、「こんな筈じゃありませんでした」と、やり場のない憤りを繰り返すばかりだった。


奥さんは夜の授乳で充分な睡眠が取れないのに昼間も眠られず、疲れが溜まり過ぎていて家事などできないと主張しているらしいのだが、出産、子育てを3度ほど経験した私には、「昼間も眠られない」というのはかなり誇張があるように思え、「家事ができないほど疲れているんだったら、普通眠気には勝てないでしょ。しかも、昼間も家事は全てお母さんがやってくれているみたいだし...、授乳とオムツ替え以外に何もしていないんだったら、寝る時間は腐るほどあると思うけどね」と、意地悪な姑のようなことを言ってしまった。

中国、殊に上海では、女性は家事をしないのが美徳とされていると、以前上海出身の(決して若くはない)ご夫婦から聞いたことがあるが、外に働きに出ている夫が家のことも全てやるのが当たり前で、"奥方"は夫が働きに出ている間家でゴロゴロしながらTVを観たり、ショッピングに出掛けたり、友達とランチを食べに行ったりして優雅に過ごしているというのを得意げに聞かされ、「あなたも上海の男性と結婚するといいわよ!」と勧められた時には、「いや、私はそんなのは気の毒で見ていられないし、申しわけなくなってしまって、かえって居心地悪く感じると思うよ」と、思わず反論してしまったことがあったが、上記の日本男児のパートナーは上海出身ではないし、子供が産まれる前は家事もこなしていたというから、もしかしたら育児ノイローゼから来るものなのかも知れないなと思えなくもない。

だが、相手に対する思いやりというのは何処に行ってしまったのだろうか?

夫である日本男児は、毎日々朝早くから、家族の為に好きでもない(実際、彼はもうずっと以前から職場の人間関係に嫌気がさし、辞めたいと口癖のように言い続けている)仕事に出掛けて行き、生活するためのお金を稼いできてくれるのだということを、有り難いとは思わないのだろうか?
彼女の親はそんな娘のイライラに対してどのように反応しているのだろう?

日本男児の近況報告を聞き、どうしたものかと話し合っていると、結婚というものがどれだけ面倒なものなのかがまざまざと見えてくる。

私は彼らの結婚の儀の立会人として署名した立場であるのに加え、人生の大先輩でもあるのだが、(現時点で)人生の 4/5 ほどをあの封建的な日本で過ごしたせいでか、どうしても、外で働いてきてくれた人に対して家の中でも身を粉にして働くのが当然だという主張には同意できず、何の助言もできないまま、ただただ、「あ〜、やだやだ」という言葉しか頭に浮かばなかった。

彼は今頃どうしているのだろうか?
お互いに納得がいく解決策を見出してくれているといいのだが...



二人並んで、ここで婚姻届にサインしたんだよなぁ...



全く関係ない話しだが...

たった今、同居人H(娘)が友達と近くにお茶を飲みに行くというので、「お土産買って来て〜」と冗談半分に頼むと、何が欲しいのか冗談半分に聞いてくれた。

「豆腐!」と答えたら吹き出していた。

そして、「わかったよー。(豆腐を)誕生日プレゼントにしてあげる」と言われた。

幸せな家族である。





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