26.9.19

H の溜め息

中には例外もあるが、親と同居している子供は、たいていの場合親が食事の支度をしてくれる。
朝起きれば朝食が準備されており、夜仕事から帰ればすぐに食卓に着けるよう、夕食が用意されている。

昨夜、夕食時に私と H は全く同じことを考えていた。
H の顔を見て、「これから大変だね」と私が口にすると、「今、同じことを考えてたとこ」と言いながら、H は更に続けた。

「仕事が終わって家に帰ると絶対に 7 時を過ぎてるし、それから食事の支度をしたら、食べる頃には 9 時になっちゃうよ... 」
H は深く溜め息をついた。

それまで漠然と『大変だろうな』と考えていたのが、急に現実問題となり、おそらく内心、「やっていけるだろうか?」と不安がよぎったに違いない。

私の両親は共働きだったが、夕食の支度は私の祖母が亡くなる少し前まで担っていたため、母はフルタイムで仕事をすることができていた。
私はというと、所帯を持ってしばらくはアルバイト(某老舗デパートの中のカスタムメイド服を扱う工房勤務)に出ていたものの、数ヶ月後には切迫流産の危機に直面し、絶対安静期間が長くあったため外にも出られず、出産後は育児に追われ、それからはずっと家でできる内職とか洋裁で僅かな収入を得ていた。(ほとんど家計の足しにはなっていなかったが、子供たちの服を作るための材料は賄えたように記憶している)

連れ合いが自宅敷地内に測量設計事務所を構えてからは、会社の経理/人事+雑用係が私の仕事となり、外に働きに出ることはなかったため、家事も育児もほとんど全て一人で切り盛りしていた。
そうできたのは幸せだったなと、今回 H の独立に伴う労苦を考えながら思った。


多くの共働きの核家族は、前述の H の嘆きのように、夕食を食べる頃には 9 時になってしまいかねない環境に置かれるだろう。ラテンの国にでも移住したと考えれば、全く異常なことではないと思えるだろうが、これまで遅くとも 7:30 pm には夕食を食べ始めていたことを考えてしまうと、気が滅入るのは至極当然だ。

ダッチの BF が料理もできてよかった。
アジアの料理の仕方を覚えてくれたら万々歳だな...



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