11.9.14

Hasta pronto

彼の人が出掛ける時、私はいつも「気をつけてね」と言いながら車が見えなくなるまで見送っていた。仕事で出掛ける時にも、遊びに行く時にも、いつもそうやって見送っていた。

昨夜、英国に住む友人と宗教について語り合っていたのだが、半日遅い彼の一日はチャットの後10時間に及ぶ車の運転を課せられているらしく、無事に帰って来れるよう神に祈っていて欲しいというので、「もちろん祈っているよ。気をつけて。」と言って見送った。
彼が「Bye」と打ってよこしたので、頼むからByeと言わないでくれと頼んだ。


ずっと以前、スペイン語に興味を持っていた頃、スペイン人は Adios と別れ際に言わず、Hasta pronto とか Hasta mañana (実際に明日会うことになっていなくても)或は Hasta luego と言うことの方が多いと聞いたことがある。真偽のほどは定かではない。実際私のバルセロナの友達は Adios と言うこともあったし、こちらに住んでいるワイン屋のミゲルもそう言うことが何度かあった。マドリッドに住む友人にその話をしたら、彼はやはりHasta … と言う場合の方が圧倒的に多いということだったので、まぁ人によるということなんだろうと思う。私はHasta… の方が心地良いなと感じて、マドリッドの友人とのemailのやりとりの最後にはそう書いていたのだが、その友人とも今は疎遠になっている。


ごくありふれた言葉をわざわざ辞書で調べたりはしなかった私だが、数年前ふと「何故そう言うようになったんだろう?」という疑問が湧き、調べてみた言葉があった。
Goodbye  その語源は、God be with you. ((別れた後も)神があなたのそばにいますように)が短縮されて god-b-ye となり、Good morning などからの類推で語頭がgood に変化したと書かれていた。

誰でも別れた後双方に何が起こるかわからない。外に出かけて行った人ではなく、家にいる人に不幸が訪れる可能性が無いとは誰も言い切れない。そう考えてみると、別れ際の挨拶は Goodbye が最も相応しいと言えるのかも知れない。まぁ、相手に信仰心があればの話だが。

昨夜、彼にはGoodbyeと言ってあげるべきだったかなとふと思った。でも私はその言葉がどうもしっくりこず、See you soon.と言って見送ってしまった。

どうか彼の神が彼を守り続けてくれますように。
またすぐに、あの完全にイギリス訛りの英語が聞けるようになりますように。

心の中でそう祈ると同時に、あぁ、何故また人と関わることになってしまったんだろう… 何故フレンドリクエストを受信した時に拒否しておかなかったんだろう、何故メッセージを受信した時に無視しておかなかったんだろうと、強い後悔の念に駆られてしまった。

私もこの映画に出て来る女性のように悲しみを繰り返しそうで、本当はとても怯えている。



たった今(英国時間の午前2時過ぎ)、無事に家に戻ったよと彼は律儀に連絡をくれた。
なんていいヤツなんだ…

おやすみ…. and Goodbye.

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