28.9.14

Keep up your good work!

昨日のクラフトマーケットは出店者数が驚くほど少なく、朝8時から10時近くまでは非常に閑散として寂れた感が漂っていた。

10時を回った頃から会場に入って来る人の数も増え、隣りでクッションカバーを売る人の所にはひっきりなしにお客が集まってきていた。私は何故その人のデザインが飛ぶように売れるのかを考えながら過ごしていた。人の好みというのは本当に様々で、自分には想像もつかないような物が飛ぶように売れるのだ。

私のブースに立ち寄ってくれた人のほとんどが、「これらはNZで作られたの?」と聞いて来る。「ここにあるのは全部私が作ったものですよ。ガラス製品も木製品も全てハンドカットして作っています。」と答えると、皆とても驚いた顔をして、しげしげと眺め、とても美しいと絶賛してくれる。

昨日は自分でもスクロールソーを使って仕事をしていたという男性が来て、しばらく話をしながら私の作った物を見てくれていた。その人はステンドグラスも経験があるらしかったので、ステンドグラス材料は本当に高いよねという話から、何でハンダやケイムはあんなに高くなっちゃったの?と、そんな専門的な話に花を咲かせていた。
話をしていてとても楽しかった。彼はステンドグラスと木工の作品を幾つか購入してくれ、総額$100以上もの支払いになってしまったので、こちらの方が何だか申しわけない気持ちになってしまった。彼は Keep up your good work! と大きな声で言いながら去って行った。私はお礼を言いながら、心から有り難いなと感謝した。

私の仕事はステンドグラスと木工なので、仕事自体に興味を示してくれるのは男性の方が圧倒的に多い。

以前一人の年配の男性が来て、「これらの透かし彫りはどうやって作ってるの?」と聞いてきたので、スクロール ソーでカットしてるんだよと答えると、「僕はCNCルーター(コンピューター制御のカッティングマシン)を使って仕事をしているけれども、スクロールソーでここまで繊細なものを作ることができるなんて信じられないよ。素晴らしい技術だ。」と絶賛してくれたことがあった。
私が「機械のように完璧なものはできないけどね。」と笑って言うと、「同じようなものを作っても、機械じゃこの温かみは出せない。丁寧な手仕事に勝るものは無いよな… 素晴らしい。僕はあなたの仕事に非常に感銘を受けたよ。妻にあなたの作品を見せなてあげなくちゃ。」と言って去って行ったのだ。
まぁ、言わば同業者のような人からそのように褒めちぎられて、まだまだ完璧に満足する仕事ができていない私は、少々こそばゆい気持ちになりながらお礼を言った。

昨日来てくれた中国人の男性は、自分は自国で木工を教えていたから、あなたが確かな木工の技術を持っていて、しかもとても丁寧に作っているのがよくわかると言ってくれた。
「スクロールソーでカットした部分は、カットしたままの状態ではこんなにはスムーズにならない。機械でサンディングしているの?」と聞くので、「竹串や爪楊枝にサンディングペーパーを巻いて、手で磨いているんです。機械だと削り過ぎてしまう恐れがあるし、繊細な透かし彫りを折っては困るので。」と返事をすると、更に驚いた顔をして、「あなたの根気の良さと、作品のクオリティの高さにはただただ敬服するばかりだ。」と最高の褒め言葉を頂いた。
ステンドグラスはどうやって作るのか。ガラスとガラスをどうやってハンダでくっ付けるんだ?と、彼の興味は尽きなかったようで、けっこうな時間私のブースに留まっていてくれ、この次のマーケットの日にも来るかと確認をしてから去って行った。

終了時間になって、周りのベンダーさんたちが手際良く片付け始めたので、私も一つ一つ丁寧に小袋に入れ、傷がつかないように注意を払いながらコンテナに戻し始めると、一人の女性が来て、『最後の晩餐』を切り出したプレートをマジマジと眺めながら、「友達が引っ越しをするので、そのお祝いを探しているの。彼女はクリスチャンだから、これ、きっとすごく気に入ってくれるわ。彼女、私の親友なのよ。」と話し始めた。
終了時間をとうにオーバーし、イベント マネージャーが少し離れた所で苛つき気味に私がそこを片付け終わるのを待っていたのがわかったが、その女性が一生懸命に話してくれているのをよそに片付け続けるのも気が引けて、私は彼女が立ち去るまで話し続けた。
そのイベント会場を次に使用することになっているのはクリスチャンの会衆だ。自称クリスチャンの人々が片付けを手間取っている私に向って怪訝な顔をするとは思いたくなかったし、そうあって欲しくもなかったが、会場をセットアップしているクリスチャンたちの誰一人として、私に対して声を掛けても来ず、ニコリともしなかった。冷たい空気の漂うクリスチャン会衆を、私は初めて見たような気がした。



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