30.10.16

Shir La'ma'alot - Yosef Karduner (Tehilim 121)




明け方4時前に目覚めた。

頭がはっきり目覚めてしまったので、目を瞑るのをやめ、ベッドの上でパソコンを開いた。

開いた途端、この曲が流れて来た。
幻覚ではなく、実際に流れて来たのだ。

開いておいたわけでもないのに、iTunes が勝手に起動し、何年も前に聴いていたこの曲が流れている。

私はインターネットでその聖句を再び読んだ。

詩編 121 編

胸が詰まり、涙が流れた。


29.10.16

Kinzo Dovetail Saw


ベンチにステイン3度塗り。
最初はDark Oak 、その上にDeep Oakを塗り重ねた。もちろんその度にサンディングをする。
Dark もDeep も変わらないじゃないかと思うかも知れないが、私がいつも買いに行くResene のそれらは全く違う色で、Dark は赤みがかった茶色、Deepは黄色みがかった茶色だ。
(どちらも単品の色だけでは物足りないので、私は色を重ねて使うようにしている)




ステインで着色後シェラックを2度塗り重ね、乾かしている間に、届いたばかりのKinzo 23 の目立てをした。

これは小ぶりな鋸で、目数が17 tpi と非常に細かく、目立て後に板を切ってみると、切り口が非常に綺麗で、まるで日本の極薄い鋸で切ったような切断面になった。

ブレードの質に関しては、私はまだどうしようもなくひどい品質のものに出会っていないため、どれが良くてどれがお粗末だとかは全くわからない。
ただ単に、昔の日本の職人が作ったものは、おそらく悪くはないだろうと思っている程度の認識の浅さだ。


この Kinzo 23 、大きさはこれまでに買い集めた中で最も小さく、細かい作業をするのに誠に使い勝手が良い。

同居人Tは、引いて切る日本の鋸の方が断然使い易いと言うのだが、私はどちらかと言えば押して切る鋸の方が使い易く感じる。また、目立てが楽だというのも利点である。
まぁ、目立てに関しては、日本の鋸についても、馴れてしまえばどうということはないのだろうが…


シェラックが完全に乾き、#360のサンドペーパーで表面を均す程度に軽くサンディングし、ダストを綺麗に拭い去り、しばし考えた後、Deep Oak カラーのステインをもう一度上塗りすることにした。



ステインを乾かしている間に、裏庭の草取りを少々…

放置したままになっていた同居人Hの『そら豆畑』を見ると、もう沢山の莢ができていて、中には丈が15cmほどに成長しているものもあった。豆を育てた経験が無いので、いつ頃収穫できるのか、またインターネットで調べないとならない。

リンゴの木にも沢山花が咲き始めた。




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《日本食い倒れの旅》の最終章に入っている同居人Hから、毎日のように送られて来る食事の風景。どれも美味しそうなものばかりで、羨ましい限りだ。
調理方法も然ることながら、とりわけ食材の良さが際立っている。

黒毛和牛(もちろん霜降り)


それに対抗すべく、こちらから送った写真は…


同居人Tが釣り上げたばかりの透き通ったイカ。

そして、超新鮮なイカ刺し。



こちらで対抗できるのはそれくらいなものだ。


23.10.16

布団作り、そして父の作った机



その昔、我家では母が自宅用の全ての布団を作っていた。布団の打ち直しも定期的に行っていたので、けっこう頻繁にその光景を見ていたことになる。

私と姉は小さい頃から母の布団作りを手伝っていたので、今でもどのようにして作るかよく覚えている。

もちろん布も買い、布団のサイズに縫っておくのだが、母はこのビデオの様にではなく、布団の中央になる部分を縫い残し、その縫い残した部分から四方の角を抜き出すようにしていた。

また、綿を敷き詰める際には、まず最初に真綿を布の上に薄く敷き詰め、その後コットン綿をこのビデオのように敷いて行った。そして、最後にはまた真綿を薄く敷き、真綿でコットン綿を包むようにしていた。

真綿は高価なので沢山は使えないと言っていたが、例え少量でも(それだけでは効果が期待できるかどうかはわからないが)、家族のためを思って、少しでも快適に睡眠できるよう配慮してのことだったのだろうと、このビデオを観ながら懐かしく当時の光景を思い浮かべていた。


日本に行っている同居人Hは、1週間私の実家に滞在し、母の美味しい手料理を堪能し、姉の計らいで高級料亭に連れて行ってもらったり、美味しい鰻重やら、こちらではお目にかかれない "ミスド" のやたらと美味しいドーナッツを頬張る写真が送られて来た。

80歳をとうに超えている母だが、Hが来てくれるからと、自ら買い物に出かけ、好物を沢山仕入れ、食べきれないほどの料理をせっせと作って待っていてくれた。

また、先週末には皆で少し遠出して、神社巡りに連れて行ってくれたりし、これまでに経験したことの無い "日本" の姿を楽しんで来たようだ。

私は日本に居た頃は熱心に聖書の勉強をしていたので、神社に行くことはほとんど無かったし、今でも取り立てて行く気はしないが、皆が楽しそうに一緒に行った想い出を写真に収めているのを見て、あぁ、いい家族で良かったなと、心底思った。


昨日、Hは私が持たせたNZ産ビーズワックスで亡き父の作った机を丁寧に磨いたようで、母は見違えるほど艶の出た机を見て、何度もお礼を言っていたらしい。


「塗ってある方と塗ってない方の違いがわかる?」と、Hが送って来た写真

私は木工を始めるまで木製品の手入れをしたことはない。自分で作るようになって初めて、父の作った家具が艶がなくなってしまっていることに気付いた次第だ。



Hは木工に関することは何も知らないので、取りあえず乾燥し切っている家具にビーズワックスを塗って表面を保護する処置だけをしてもらったが、今度私が行った時には、スチールウール パッドとサンドペーパーを使って、もう少しだけ綺麗にしてあげようと思った。

父が遥か昔に作ったこの机。昔は姉が使っていたように記憶しているが、今は母のパソコン机となっている。棚部分には扉が付いていたはずだが、もう取り外されている。取り外された扉は何処に行ってしまったのだろう?

母は今でも父の作った沢山の家具に囲まれ、それを毎日使って生活している。
昔の家具なので、今の生活に合うような作りではもちろんないわけだが、今一般庶民が手を出せる価格帯で売られている家具は、木の質自体が安っぽく、見比べてみると質感に雲泥の差があるのがよくわかる。
また、今売られている家具のほとんどは、作りも誠にお粗末だ。


私のこれまでに作った家具はみすぼらしい。
もっと腕を磨いて、質の良い材木を使うようにしなければだめだと、父の作った家具を見る度に思うのだが、悲しいかな。昔のように材木が安く手には入らない時代になってしまっていて、欲しい板に手が出せない。

ステンドグラスの仕事をしている時にも、やはり経費削減のために質感の無い安っぽいガラスばかり使わざるを得ないことに苛立ちを覚えたが、木工の世界も同じ…

手作り派にはあまり嬉しくない世の中になってしまったことを嘆くばかりである。


21.10.16

Ghostwriter

せっかく日本に来ているのだから歯医者に行っておきましょうと、同居人Hは本籍地の市役所に出向いた。

市役所に足を踏み入れ、はてさて、何処に行ったらいいものか、さっぱりわからず…

LINEで私に聞いて来る。

「何処に行ったらいいの?」

「市民課」と答えると、そんな課は無いと返事が帰って来た。

それじゃ、インフォメーションのブースに居るおばちゃんに、戸籍謄本を取りに来たのですが、何処に行ったらいいですかって聞いてみるといいよと伝え、その通りに聞いて、『戸籍住民課』にたどり着いた。

たどり着いたのはいいのだが、何をどうしたらいいのか全くわからないHは、『戸籍証明等交付請求について』と書かれた紙の写真を撮り、「一番上のもらえばいい?」と写真付きで聞いてきた。

そこの窓口の職員に、海外から転入して○○区に住民票を移したいのですが、何が必要ですか?と聞いてみるように言うと、交付申請用紙に丸印で記入する箇所を指示してくれたらしく、今度はその紙の写真を撮って送って来た。

「本籍なに?」「読めなーい」

この子、私が居なかったらさぞかし困ったことだろう。

戸籍筆頭者の欄に自分の名前を書くところだったと、冷や汗もののHは、私が書いて送った通りに記入して行き、私が言った通りに職員に質問し、無事交付を受けられたようで、ホッとしていた。

日本に居た期間よりもNZで生活している期間の方が長くなってしまったHにとっては、全く初めての経験なので無理はない。

「窓口のおっさんがいい人だった」「ニュージーランドかぁ、ご苦労様だって」と、生まれて初めての役所での申請を無事成し遂げ :) 、市内を散策してからお寿司を食べに行ったようだ。


アトリエでは、ようやくベンチ兼下駄箱の本組み立てに入った。


一度に全てを組み立てず、パーツ事に分けて組み立てた方が楽かなと、グルーの乾くのをのんびり待ちながらの作業だ。(乾かしている間に他のことをしているので、休んでいるわけではないのだが、このベンチ作りの作業自体は超のんびり)


4本の足の底面は、初めて父の面取り用鉋を使い、角を45度に削ってみた。
この特殊鉋は思ったより使い易く、削り幅を調節するのも簡単だった。


棚板は安い Selex laminated pine panel を使用した。継ぎ目がみすぼらしいものの、ステインで色を付けてしまえばそんなに目立たないか… そんなに立派な作りでもないしな… と、作っていて思った。(合板を使うよりは少しマシかなという程度)


天板を取り付け、支えるための補強板は、マイター シューティング ボードを使って2辺を正確に45度に削った。

これを取り付けるのにはネジ釘を使うことになるので、他にいい方法が無いのかなとずっと考えていたのだが、まだ木工の知識も経験も不足している私には、今のところこの程度のことしかできず、この点も少々残念ではある。

この後の作業は、はみ出たグルーを丁寧に取り除き、既に用意してある厚い天板の面取りをした後、天板を取り付ける前に、ステインで天板と本体を着色。

またペインティングとサンディングの繰り返しの日々がやって来る。


19.10.16

父の形見の天然砥石

日本に行っている同居人が、私の実家に残っていた亡き父の天然砥石を運んで来てくれることになった。

「良い砥石があるから、持って行けよ」との父の遺言通りに、11月、それらの砥石は私のもとにやって来る。


これまで天然砥石のことについて何も知識の無かった私が持っているのは、雲の上のお師匠さんに倣って買ったダイヤモンド砥石くらいなもので、シャープに研げることは研げるのだが、父が丁寧に研ぎ上げた刃物とは比べものにならないほど早く鈍らになり、この2年、シャープさが全く違うことを、ただ単に研ぎの技術の問題なのだろうと思い続けていた。

天然砥石のことを調べ始めてようやく、技術の問題も然ることながら、研ぎ上がりの状態には砥石の質が大きく関係していることを知った私は、父の残してくれたこれらの砥石が他に類を見ないほどの宝物に思え、それらを手にし、父の刃物を研いでみる日が待ち遠しくてたまらなくなった。


総重量 5キロか…

ごめんよ、H、重たいお土産頼んじゃって...



10.10.16

リンゴの新芽とベンチ作り


裏庭のリンゴの木に葉が出始めているのを発見した。
今年も甘くておいしいリンゴが沢山できるだろうか。楽しみである。


先週末日本に発った同居人Hを見送って、お土産探しの日々ともオサラバし、また普段の生活に戻った私…
久々に一日中立って作業をしていたせいで、足が疲れた。

枠組みの全ての mortise and tenon jointを作り終わり、仮組み立て。
はてさて、棚板をどのように固定しようか…




6.10.16

弁当箱 @ NZ


お値打ち価格品を売っているサイトで見た Bento Box / Lunch Box に衝撃を受けた。

弁当箱の中にサンドウィッチ、野菜のスティック&ディップソース、クラッカー(?)、チーズ、ドライフルーツ&ナッツにチョコレート マフィン(?)まで入っている!!

(これいいな… サンドウィッチを作って野菜を切るだけでいいじゃないか…)

日本の典型的なお弁当には、お菓子類はもちろんのこと、チーズも滅多に入ってはいないだろう。
学生が学校にお菓子を持って行くことなど絶対に許されなかった時代には、水かお茶以外の飲み物を持って行くことさえ許されなかったのだから、こんなおやつの入ったお弁当を持たせたりしたら間違いなくお咎めを受けたに違いない。(今はどうかわからないが)




日本の典型的なお弁当の中に入っているもので、手を加えないで入れられているのは、漬け物とか蒲鉾とかいう類いのものと、ささやかながら入れられている果物とか、隙間を埋めるための彩り用ミニトマトくらいなもので、いったい何時に起きて用意したんだ?と思ってしまうほど、色々な種類の色とりどりのお惣菜が、ほんの少量ずつ、ぎっしり詰められている。



日本の食に対する意識の高さを、こんなところから再確認することになるとは思ってもみなかったが、それと同時に、型にはめられ、そこからなかなか出られない "日本的感覚" というものまでがくっきりと見えてきて、そういう日本の『懐の狭さ」とも言うべき特異な体質は、やはり私は好きではないなと、改めて思った。


しかし、これらのお弁当の美味しそうなこと…




料理が昔からあまり好きではなかった私は、料理本無しには家庭での"任務"をこなす自信が無かったため、色々な本を買い集めたわけだが、その中にこのお弁当作りの本も入っていた。



しかし、これを参考にしてお弁当を作った記憶が全く無い。
見ただけで、面倒臭そうだなと、作る気力が萎えてしまっていたのかな… ?


5.10.16

最も悲しい記念日は明日…

日本に居る旧知の友から、今年も気遣いの便りが届いた。
彼の人のことを知る彼女は、明日が私たちに取ってどれだけ大切な日かをよく理解してくれており、彼の人の冥福を祈ると同時に、私達が平穏に暮らせるようにといつも願ってくれている。
本当にありがたいことだ。


今日は何処にも出掛けること無く、アトリエで作業をしていた。


まだドライ フィットの段階で、クランプでしっかり固定してもいない状態だが、この程度の隙間だったらクランプでしっかり締めれば問題無いだろうと思い、次のほぞ作りの作業に入った。


ここ数年、YouTubeで多くの木工関係のビデオを観てきたが、私には、電動工具類を使って作る方法よりも、昔ながらのハンド ツールを使って作るやり方の方が性に合っていることがよくわかった。
ほぞやほぞ穴を正確に作るよりも、釘を打ったり、だぼ(dowel)を埋め込んで接着する方が格段に楽に決まっているが、そんな誰にでも容易にできる楽な方法ばかり取っていたら、いつまで経っても技術は進歩しない。(だぼジョイントは『技術』と呼べるほどのものではないと私は思う)

腕を磨くというのは、容易にはできないことを容易にできるようにすることだ。

私はその『腕を磨いている段階』が最も好きで、完璧にできないながらも、徐々にコツをつかんで行く過程そのものをこの上なく楽しいと感じるように生れついている。

まだまだできないことだらけの木工作業… 『飽き』がくるより先に自分の命が終わりそうだ。


2.10.16

すんなりいかない買い物と、なかなか進まないベンチ作り

オークションやら通販で買った物が届かないとか、注文したものと違う物が届いたとか、そんなことが最近頻繁に起こり、業者や個人トレーダーとのやり取りにほとほと疲れてしまった。

8月半ばにインターネット オークションで落札したカービング用鑿は、1ヶ月以上経ったある日、出品者の元に戻って来たと連絡が入った。
住所を書き間違えたために、宛先不明で返されたとのこと。面倒をかけてすまなかったと詫びのemailが届き、まだ必要かと聞いてくれたので、ポスト ショップが紛失したということで既に返金を受け取っていた私は、また出品者に送金し直し、その2日後にようやく落札した物を手に入れることができた。



間違って配達された家の人は正直にポスト ショップに荷物を戻し、ポスト ショップの関係者はきちんと仕事をしていたわけだ。
不正直者は居なかった(私も、相手も含めて)ということがわかり、誰一人としてあらぬ疑いをかけられたまま迷宮入りになってしまわなかったことは何にも増して嬉しいことで、お互いに晴れ晴れとした気持ちで取引を完了することができたのは何よりだった。
とは言っても、神経を使う英語でのemailのやり取りなど無いに越したことはないが。

時々トラブルは起こるものの、出掛けて行って欲しい物が必ず手に入るという環境ではないため、インターネットで探し、国内外から送ってもらわざるを得ないという状況はこの先も続くことに違い無く、おまけに『テキトウに手を打って良しとする』性格ではないことが邪魔をして、泣き寝入りする事もできず、納得するまで妥協もせず… 必然的に英会話能力を高めることが要求されることになる。

まぁ、日常生活において人と接する機会が極端に少ない私だが、それでも語学力が退化する一方ではなく、ある程度のレベルで留まっていられるのは、相手にわかり易く、かつ適切にこちらの "正当な要求" を伝えられるような表現の仕方を、頭の中で思い巡らせているためだからだろうとは思うが、誠に難儀な事である。



長いこと注目していた Drawknife を先週国内のインターネット オークションで手に入れた。すぐに必要なものというわけではないが、あったら便利な物… 

Drawknife は何故だかとても人気があって、出品されると必ず高値で落札されるのだが、どれも古い物で、完璧な状態ではないのにも関わらず、$100を越える事はざらにある。(品薄のNZだからか?)

これは、珍しく Henry Boker の名前が刻まれた物だったが、矢のロゴは付いていなかった。そして期待していたブレードの品質は、期待していたほどではなかった。
切れ味が悪いというわけではないが、私の持っている3挺の鉋のブレードと比較すると明らかに品質に差があるように思えた。(これで超正確な仕事をするわけではないので、この程度で充分なのだろうが… 少々ガッカリ)



最近は出掛けなければならない用事が多く、作業に没頭できない日が続いている。

出掛けてばかりいると、どんどんやる気が失せて行くような気がする。


なかなか進まないベンチ作り…
今日ようやく、足になる角材4本全てにほぞ穴を掘り終わった。






「ありがとう」ではなく「すみません」

病院に面会に行き、エレベーターが自分の居る階に来るのを待っている時の光景... 到着したエレベーターから降りる人は、必ずお辞儀をしながら降りてくる。 乗り込む際、最後に入ってくる人もまた、お辞儀をしながら入ってくる。「すみません」と言いながらお辞儀をする人が圧倒的に多い。 また、...