28.4.17

木工 & 裁縫技術

久しぶりに同居人Hのラブリーな年代物の車(フォード エスコート)が動き、同居人たちが「大丈夫かな?会社までたどり着けるかな??」と心配しつつHの車に乗って出勤した一昨日、私は裁縫の頼まれものを受け取りに近くの公園まで出掛け、世間話に花を咲かせて帰って来た。

その日は快晴だったので、屋外で話をしているのは気持ちがよかったが、ベンチの無い場所で長時間立ち話をしていたので、少々腰が痛くなってしまった。

頼まれたものは、カレッジに通う男の子の制服のシャツのサイズ直しで、学校はいつから始まるのかと聞くと来週からとのこと… それでは今週金曜日までには仕上げて渡すよと約束し、昨日は朝一番でアトリエに降りて行き、観葉植物を置くプランタースタンドをペイントし、ペイントを乾かしている間に家に戻って服の直しに取りかかった。


 サイズ直しだけではなく、袖ぐりのステッチが外れていたのも目に付いたので直しておいた。


裾のスリットの裂け止めは簡単なジグザグステッチのみというのは、大量生産ではよく使われる手法だが、ジグザグステッチ部分の布を接着芯などで補強していないため、実際には裂け止めどころか、その部分の布を極度に弱らせる結果になり、縫い目が裂ける(或はほつれる)よりも先に、布自体が破れてしまうということが往往にしてあるのだ。
糸が切れてスリットが裂ける方が、布自体が破れてしまうよりもマシではないかと、そんなことを考えながら、身幅を狭くし新たに作ったスリット部分には裏から接着芯を張った当て布をし、滅多なことでは裂けないようにしておいた。




ペイントは何回かに分けて塗らなければならなかったため、ペイントが乾いた頃にアトリエに戻って別の面を塗り、そしてまた家に戻って裁縫の続き… 
制服2着の直しは糸を解かなければならない箇所が多く、予想以上に時間がかかって、結局昨夜9時過ぎになってようやく出来上がり、疲れていたために出来上がりの写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。

今日はペイントをした全ての面をサンディングし、2度目のペイントを一部施し、ペイントを乾かしている間に直した制服を届けに行った。

制服を着てみた男の子は、満面の笑顔で喜び、ダブダブのシャツを着ていることを友達にからかわれるのが本当に嫌で嫌でたまらなかったが、これで誰にも何も言われなくなる、涙が出るほど嬉しいと、心の底から感謝してくれ、制服を着たまま脱ごうとしなかった。
彼はすこぶる素直な子なので、少しでも役に立つことができたことを、私はとても嬉しく思った。

だが、少々大きめな服を着ていたって別に誰に害を与えるわけでもないのに、それを大げさに取り上げ相手に執拗に嫌がらせをするのを生き甲斐にしているような子供の何と愚かなことか… その程度の低さには呆れるばかりだ。
この国に限ったことではなく、世界中で見られる恥ずべき行為だ。


服の直しの作業が終了し、またアトリエでペイントの続きをしている時、この家の大家さん(インド人)がやって来て、間違って隣りの大家さん宅に配達された私宛の荷物とともに、私にと小さな包みを手渡してくれた。


大家さんの家の警報機が時々けたたましく鳴ることがあり、ほとんど家に居る私は家の中とか周囲から不審人物が出て来ないかをすぐさま見回りに行くセキュリティのおばさんになっているのだが、家を留守にしている大家さんは、私が居てくれて本当に助かると、丁寧にお礼を言ってくれ、プレゼントまで用意してくれたのだ。

私たちは、大家さんがこの10年でたった一度しか家賃を値上げせず、しかも、値上がり額は極わずかだったことに感謝してもしきれないほどだと思っているので、私達にできることは何でも言ってくれていいし、また、そんな些細なことでプレゼントなど用意する必要は無いよと言い、大家さんは私達が住んでいてくれることを本当に嬉しく思っていると言ってくれて、明るい笑顔で手を振り別れた。

プレゼントは薔薇と芍薬の香りの石鹸で、部屋の中で香水のような芳香を放っている。



異国の地で、たまたま知り合った善良な人々に囲まれて、私達はとても落ち着いて生活しているよと、心の中で彼の人と父に話し掛けながら、同居人たちの帰りを待っていた。


あぁ、そういえば、トルコ人のマフムートもズボンとシャツを直して欲しいと言ってたな…





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