私が持っている中で最も大きく目の粗い鋸は Disston の panel saw で、数年前に別の鋸と十把一絡げでオークションで落札したものだったが、全面厚い錆で覆われ、ブレードはほとんど黒と言ってもいいほど光沢を完全に失っていたこの Crosscut Saw(横挽き鋸)は、私にしては珍しく手入れをすること無く、仕舞い込んだままだった。
購入してからこれまで一度も使わなかったのは、目が粗過ぎて普段の作業には向かないと思ったからなのだが、今回ブレードの表面を飽きるまで磨き、目立てをし直し(Rip cut - 縦挽き - 用に歯を作り直し)、歯振を出した後、Macrocarpa の板厚を半分にカットしてみると、予想以上にスムーズに切れ、ブレも少なく、かなり使い易くて驚いた。
私が買っている端切れの板は 4〜5cm ほどの厚みがあることが多いため、何を作るのにも板厚を薄くする必要があるのだが、せっかく買ったバンドソーは切り始めて2cmもしない内に進路を変え始め、いつも信じられないほどひどくうねった切り口になってしまう。
何度調整を繰り返しても、更には背の高い頑丈なフェンスを作ってそれに沿わせ、気が遠くなるほどゆっくりゆっくり板を送っても、これまでまともに使えたためしがなく、調整にほとほと疲れ果て、嫌気がさした。
バンドソー自体の作りが悪いのか、ブレードが細すぎるのか、或はブレードの目が細か過ぎるのか... などとトラブルの原因を幾つか考えてみたが、かといって物の少ないNZでは、インターネット上で推奨されているような "最適な" ブレードを手に入れるのは容易ではなく、法外な金額だと思われる物をほとんど選択肢のない状況で国内で買うか、さもなくば、海外から品物よりも遥かに高い送料を支払って送ってもらうかしないとならない。
アメリカにブレードを注文しようかとこれまで何度も考えたが、そこまでしても、やっとの思いで手に入れたブレードの問題ではなく、バンドソー自体の問題だとしたら... などと考えると、やはり思い止まってしまう。そんなことの繰り返しだ。
使ったことはないが、ほぼハンドツールのみで木工を楽しんでいる人の中には、Roubo Frame Saw と呼ばれている鋸を使っている人がいて、そちらの方が楽に、よりマシに板を切れるように思えるのだが、作ってみたいとは思うものの、ブレードだけでけっこうな値段なので、いつも考えるだけで終わってしまっている。
最近ずっと鉋がけばかりしていたおかげでか、汗をかくほど頑張って鋸を
腕っ節の強さはこの歳になってもまだそんなに衰えていないようなので、まだしばらくは手鋸で作業できるだろうが、いつまでこの効率の悪い方法で我慢できるだろう...
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よく利用している国内のインターネット オークションで、日本の風呂敷が出品されているのを発見し、思わず購入してしまった。
おそらく、日本人のホーム ステイを受け入れたホスト ファミリーが、日本からのお土産として貰った物だろうと思われるが、使い道が無いと思ったのだろう、未使用のまま売りに出されていた。
4枚セットで Buy Now NZ$10.00(¥800ほど)。日本人であれば、その金額は安いと思うに違いない。
風呂敷3枚は 50cm × 50cm と小ぶりなサイズだが、非常に日本っぽい模様&色使いで、特に緑色の、桜の織り模様の地に淡いピンクと紫で刺繍を施された風呂敷はとても品良く、綺麗だった。
桜吹雪というシールが貼られたものは手ぬぐいで、切り口は切りっ放し。
昔から手ぬぐいはそういうものだったなと、まだ実家に住んでいた若かりし頃の記憶が蘇ってきた。(その当時、こんなにお洒落な手ぬぐいなどなかったが)
その昔、連合いや子供達にお弁当を保たせる時には、必ず大きめのハンカチで綺麗に包んで保たせたものだ。
持ち運びにも便利で、尚且つナプキンの代わりにもなり、布を広げた上にお弁当箱を置いて(或は布の上でお弁当箱を持って)食べれば、食べこぼしても周囲/服を汚すこと無く、拭こうと思えば口も拭ける。
昔は考えたこともなかったが、今思うと、この包みはとてもエレガントだ。
伯母がくれた大館曲げわっぱを試しに包んで写真を撮ってみた。
風呂敷も美しいが、曲げわっぱもスッキリとしていてとても美しい。
西洋化が進んだ現代においても、日本ながらの美意識を後世に引き継いで行くよう頑張っている人たちがまだ居ることを、非常に嬉しく思った日だった。
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