16.9.15

儲け物だったTenon Saw

最近立て続けにインターネット オークションで買い物をしていたが、買ったのは古くて安いものばかりだった。しかも、一般の女性が買って楽しみに待つような物ではないので、「早く来ないかなぁ〜」とつぶやいていると、決まって同居人に笑われる。

3日前に落札した bench tail vise は私が木工を始めてからずっと探し続けていた vise の仕様に非常に近いもののように見え、是非とも獲得したいものであった。オークション終了時間を前に、閲覧数が有に300を越えていたため、まさか出品価格であっさり落札できるとは夢にも思っていなかったが、こんなラッキーなこともたまには起こるものなんだ…。

私の使っているワークテーブルは木工用に作ったものではなく、ステンドグラス用に作ったものなので、やはり使い勝手がよくない。特に平面の鉋がけをする際と、ハンド ルーターを使ったりして溝を削る際などには、テーブルの上に置いた板を動かないようしっかり固定するのは至難の業だった。これまでかなり不自由をしながら作業をしてきたので、この tail vise が届くのが本当に待ち遠しい。


先週末に落札した古いノコギリのセットは、今朝玄関先に届いていた。


写真左から、Tenon Saw (Wtyzack sons and Turner)、Old Hacksaw、Cross Cut Saw (Disston)、そしてBow Saw Frame 。落札価格は、4点でたったの $20 。
その中で何が欲しかったかというと、Bow Saw だ。ブレードやら紐は付いていないものの、作りは至って簡単なものなので、自分で取り付けられると確信して購入したのだが、届いてからわかったメーカー名は、Marples 。有名なイギリスのメーカーであった。




落札する時点で送料が幾らになるのかわかっていなかったのだが、取引の評価が100%ポジティブな相手だったので、法外な送料を請求されることは無いだろうと信じていたところ、一昨日出品者から連絡が来て、「荷物はもう送ったよ。送料は$16.20だったから、合計$36.20になるよ」と… 
私を信用して、代金を受け取る前に送ってくれたんだと、喜ばしい気持ちになると同時に、相手の人の良さを強く感じ、この人、自分が損をすることもきっとあるんだろうなと、ついつい想像してしまった。そんなことを考えていたら、あぁ、彼の人もそういう人だったよなぁと、過去の記憶が鮮明に蘇り、一気に涙が溢れてきた。

今日は朝からそれらのノコギリの錆落としをしていた。
錆落としの際にはゴム或はビニールの手袋をし、マスクも着用する。マスクをしないと鼻から空気中に飛んだ微小の錆を吸収してしまうことになるので、この2つは必需品なのだ。

Tenon Saw は錆を落とした後、ハンドルをスチールウールで磨き、ビーズワックスで艶を出した。そして、もちろんノコ歯の目立てもした。



日本のノコギリに比べるとこの Tenon Saw は小ぶりなのに重量があり、見た目がどうにもバランスが取れているようには思えず(ハンドルが大きく分厚過ぎる気がした)、果たして使い易いのかな?と思っていたが、そんな懸念は、板切れを切った途端、一気に吹き飛んだ。非常に扱い易いノコギリである。

今日は一日かけて届いたノコギリ全てをきれいにしていたのだが、いまのところこの Tenon Saw が最も使える状態になったように思う。


ふと思った。
私がステンドグラスを始めた頃、ガラスの周辺に巻く銅のテープをしっかりガラスに密着させるのに使う木べらやら、木製のランプベース、パネルを飾るための木枠(フレーム)などは、全て出来合いの物を買っていた。NZに来て、それらが容易に手に入らない環境になったため、木べらはガタガタになった部分をナイフで削り、サンドペーパーで均して、段々短くなって行くヘラに少々違和感を覚えながらも使い続け、ランプベースは自分で作るようになり、フレームも自分で作るようになってきた。だが、以前(数年前に)作ったものはお世辞にも上出来とは言い難く、今見ると「これは売り物にはできないな…」と思ってしまうほどお粗末に見えてしまう。

今だったら、木べらなんて端切れの板で簡単に作れるし、ランプベースは大きさも形も自分の好きなように作れるし、木枠の大きさも、強度も申し分の無い物が作れる。
歳は取ったが、できることは確実に多くなっており、完成度も日々高くなってきている。

だが、そのおかげで、数ヶ月前に作った物を「これじゃ売り物にならないな…」と思うことがしばしばあり、売るのを躊躇してしまい、どんどん在庫が増えて行くという悪循環を繰り返すようになってしまっているのだが…

まぁ、精進するしかないな…
その内に、ステンドグラスの仕事のように、何年経過しても恥ずかしくないレベルのものだと胸を張って言えるようになるだろうから。



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