8.9.14

Night night.

雲の上の友達の携帯電話にもfacebookのアプリが入っているらしく、私がメッセージの返事を送ると速攻で返事をくれる。そうして数分、或は数十分会話することになる。

木工の話だけではなく、色んな話が飛び出す。
この数日の間に数えきれないほどのチャットの履歴を残した。一日一回どころではなく、何度もメッセージが送られて来るようになり、まるで同僚のようだなと笑えてきたが、約半日の時差というのは厄介なもので、昨日の朝はまだ陽が昇らないうち(4時を少し回った頃)に携帯電話の着信音で起こされた(笑) 相手は私が眠っているだろうからと気遣いながら、すぐに返事をくれなくてもいいよと前置きをした上で、少し打っては送り、少し打っては送りを繰り返していたため、着信音が枕元で鳴り続け、その日なかなか眠れなくて深夜3時半近くになってようやく眠りに落ちた私は、意識朦朧としながら、「夢の中で私を呼ぶ音が聞こえたよ。:)   私、まだ夢の中に居るからすぐに返事できないかもしれないけど、よかったらそのまま喋っててくれる?」とだけ打って送っておいた。
ボ〜〜ッとしながら送られて来るメッセージに時々答えてはいたが、相手が数行書いて送ってくれても私の返事は一行のみ… 途中で我ながら笑えてきた。

そんなこんなで、これまで『雲の上』の存在だった人がしだいに画面のすぐ向こうに居る人のように思えてきて、何の気負いもなく不完全な英語で返事ができるようになっていく。面白いものである。


同居人に「ねぇ、facebookの友達の中に会った事も無い人がいる?」と聞くと、同居人は居ないと言っていた。しかも、facebookなんてもうほとんど使っていないとも言っていた。もしかしたら同居人の方が地に足のついた生き方をしているかも知れないなと、ふと思った。



クラフト マーケットのディスプレイ用に作った一面だけの壁。
色ガラスを通した光りが暖かくて、ちょっと気に入っている。



4.9.14

雲の上の友達とのチャット

今朝、出掛けなければならない用事があったので支度をしていると、ポロンと何やら聞き慣れない音が携帯電話から聞こえてきた。何だろうと見てみると、facebookにメッセージが届いているよという通知だった。そのメッセージの送り主がfacebook上の友達(雲の上のお師匠さん)からで、「僕達、まだ一度も話してないね」という、予想だにしていないものだったため、取りあえず用事を済ませてから、ゆっくり返事を書くことにしたのだが、はてさて、一体何から書き始めましょうとしばし悩んでしまった。

相手は世界的に非常に有名な人なので、こちらは彼がどんな人物かだいたいわかっているのだが、彼の方は私の素性など全く知る由もなく、私個人のfacebookにも個人の情報はほとんど何も載せていないので、一体どんな人物なのだろうかと、私のこれまでの作品を見て想像するしかない。そこで、私は簡単に自己紹介を書いて送ることにし、午後遅くになって書いたものを送信した。

彼はイングランドに住んでいるので、こちらとの時差はおおよそ半日… 送信した時間はまだ夜明け前の、し〜んと寝静まっている時間のはずだったのだが、何と即座に返事が来た。チャット機能をオフにしているのにも関わらず、私が返事できる状態にあるのはバレバレなので、そのままチャットすることに…
「私、あなたを起こしちゃった?ごめんなさい」と言うと、「ちょうど起きてたんだ。時々こうやって皆が寝静まっている時間に目を覚まして、何かを深く考えるのが好きなんだよ」と言っていた。
向こうが真っ暗な時間から始まったチャットは、私が夕食の支度を始めなければならない時間になると、鳥のさえずりとともに窓の外の木々がシルエットを映し出すほどに白み始めたようで、彼はまた少し眠ることにするよと言ってチャットを終了した。

初めて話す相手なのに、ドキドキもハラハラもすることなく、落ち着いた会話をしていた。

何故かわからないが、時々こうやって世界の何処かに住む誰かと繋がることがある。毎日私の周辺で実際にすれ違っている誰かと親しくなるのではなく、ひょんなことから見ず知らずの人と会話をするようになる...
人生はこの歳になっても予想のつかないことだらけだ。


20.8.14

ネズミとクラフト マーケット


先月クラフト マーケットに出店した際、私のブースにとても可愛い男の子が一人でやって来て、チーズの上に乗ったネズミの置物を優しく触りながら、「僕、ネズミが大好きなんだ」と、ペットのネズミの話をしてくれた。以前は二匹飼っていたんだけど、一匹白い色のネズミが死んでしまったので、今は茶色のが一匹だけ居るのだと、穏やかな口調で話していた。とても物静かな男の子だった。

しばらく話をした後、「他にネズミ持ってる?」と聞かれ、残念ながら今はそれ一つだけしかないのだと言うと、本当に残念そうな顔をして私のブースを離れて行った。


今週はその子の為にだけネズミを作っていた。
手元にある板で使えそうな物は合板の板だけだったので、作った後色を塗ろうかと思っていたのだが、ベニアをはぎ合わせた継ぎ目も、手足をとめた棒の痕が見えるのも、何だか味があって面白いなと、着色はせずオイル&ビーズワックス仕上げをして良しとした。
ヒゲは針金を使いたくなかったので、jute(ジュート:黄麻)の紐をボロボロになってしまわないようにグルーで固めて作った。

この板から生まれたネズミ… 今度のクラフト マーケットの宣伝用に写真を撮っていたら、更に可愛いなと思えてきた。

今度のマーケット デイにもその子は来てくれるだろうか…










11.8.14

美しい NZ Rimu


NZ の木の中で最も人気の高いRimuを使ってdesk caddyを作っている。このデザインは Steve Good氏によるもので、私はこのデザインで以前2つcaddyを作った。

購入した板の幅が広くはなかったので、底板は2枚を接いで、その後鉋をかけて仕上げた。
透かし彫り部分にも丁寧にシェラックを塗り、慎重に慎重にワックス(Beeswax)もかけた。

Rimuは図書館から借りてきた Maori Healing And Herbal の本によるとhardwood と区分されているが、インターネットで調べてみるとhardwoodだったり全く逆のsoftwoodと表記されていることもあり、どちらが本当なのか私にはわからない。ただ使ってみて、とても密度の高い美しい木材で、鉋をかけた感じではsoftwood の pine(マツ材)などとは比べ物にならないほど鉋がけがし易く、独特の香りを持ち、また、容易に傷がついてしまうという難点もあることを知った。

フレンチ ポリッシュを施したこのdesk caddy を見て、同居人が「ゴージャスだね」と言っていた。



7.8.14

日本ではシルバーカーと言うらしいが...

先月クラフト マーケット用に購入した新品のショッピング カートは、マーケット初日にはまぁなんとか使えたものの、満足であると言い切れるほど使い勝手が良いわけでもなかったので、引き続きカートを探していた。

国内のインターネット オークションで見つけたものは、walker / shopping cart と書かれていて、いわゆる買い物籠付き歩行器だったが、サイズが適度に大きく、クラフト マーケットに荷物を運ぶのに便利そうだなと思い入札したら、驚くほど安い金額(NZ $11.00 日本円にして約950円)で落札してしまった。


出品者の家(高速で30分ほどの距離)まで受け取りに行かなくてはならなかったため、昨日、同居人が昼休みを潰して、目的地まで運転して連れて行ってくれた。
すんなりいけば昼休みをそんなにオーバーしないで帰って来れるはずだったのだが、約束した時間に家のベルを何度鳴らしても誰も出て来ず、相手の携帯電話に連絡しても「今出られないからメッセージを残しておいて」というばかり…
おそらく出掛けていて今家に向っているのだろうと、家の外で待つこと30分。携帯電話に「待っているからすぐに連絡して欲しい」とメッセージを残し、その上テキストメッセージまで送っておいたのに、なしのつぶてで、なんてヤツだと怒り心頭に達し、昼休みを大幅にオーバーしてしまった同居人に申しわけない気持ちでいっぱいになりながら、もうそれ以上待つこともできずに帰って来た。

家に戻ってからemailで「車と助っ人を調達して約束の時間にそこに行ったのに、あなたの家には誰も居らず、携帯電話に何度連絡しても何の返事も返って来なかったのでやむなく帰って来た。頼むから、断りもなく約束をすっぽかすことはしないでいただきたい。どうやってこのトレードを完了させたら良いのか、できるだけ早く返事をもらえることを期待している」と送ったところ、すぐに返事が来て、「携帯電話はあいにくバッテリー切れで出られず申しわけなかった。けれども、自分は約束の時間の1時間半前から家に居たが、ドアベルは一度も鳴らなかったよ。きっと家を間違えたんだろう」と書いてきたので、私はすぐに、訪問した家をgoogle mapでキャプチャーしたものを添付して、おまけにその人の家に行った人でなければわからないはずの特徴のあるドアベルについても言及した上で、「私達が訪れた家はあなたの家ではなかったのですか?」と返事を送った。もし家を間違えていたとしたら、ずっと待ちぼうけを食わせてしまったのは私の方だ… (でも、もし間違っていたとしたら、どうやって正しい家を見つけられるというのだ???? ストリート名も番地も確認して行ったはずだぞ…)

その家はその人の家で間違いなかった。彼はなぜドアベルが鳴らなかったのか、なぜ気付かなかったのかわからないと言いつつも、真摯に自分の非を認め、今日こちらまでカートを届けに来てくれるというので、「あんなに安い金額で更にデリバーしたのではガソリン代の方が高くついてしまうから、あなたの都合の良い時間を教えてくれたら私が(今度はバスで)取りに行くことにするよ」と返事を送っておいたのだが、今朝、「こんな所まで2回も来る必要は無いよ。私の過失だから責任を取らせてくれ。今日の午前中に届けに行きたいと思ってるから、都合の良い時間と場所を教えて」とemailが届き、有り難く届けてもらうこととなった次第である。

会ってみるととても誠実そうな良い人だった。
私が落札したショッピング カートは彼のお母さんが使っていたもので、お母さんは3ヶ月前に亡くなったと話してくれた。彼は介護の必要があった母親を何年もずっと面倒見てきた人だったのだ。お母さんも長年辛かっただろうし、彼もさぞかし大変だっただろうと想像できると言うと、彼はお母さんがどんな状態でいたのかを丁寧に話してくれた。
私はもう若くはないし、時々腰を痛めて難儀をするので、彼から買ったカートは私の助けになるに違いないとお礼を言い、無事取引を成立させて笑顔で別れた。
彼は直接会えて話ができたことを本当によかったと言っていた。

ほんの些細な行き違いが人と人とを大きく隔ててしまうことがある。相手に対し敵意を抱いたまま、苦々しい気持ちでこの先過ごさなければならないというのは何とも悲しいことだ。
誠意を持って行動し、話し合えばわかり合うことができるということを実感した今日は、昨日の怒りもすっかり消え、オークションのフィードバックにはお互いに「喜ばしい取引だった」と感想を残すことができた。

今日は良い一日だった。



4.8.14

寒梅の咲く頃


まだ冬なのに、梅がもうすぐ満開になるよと同居人が驚いていた。
この木は寒梅だったんだと、今年になってわかった。

この冬は例年よりも暖かいと感じるのは、電気毛布の使用回数がまだ1,2回ほどしかなく、日中ストーブ無しでも大丈夫な日が多いせいだろうが、雨降りの日は多く、ほとんど毎日のように雨が降っている。


数日前、インターネット オークションで売れたドレッサー トレイを送りに郵便局まで歩いて行った。
郵便局は歩いて25分ほどの所にあり、さほど遠くはないのだが、繁華街の端と言うに相応しい、ちょうど活気の失せかけた場所に位置するため、いつもそこまで歩くと何だか疲れた感じがしてしまうのだ。

帰り道にはアジアン マーケットも幾つかあるので、食材を調達して帰ることにした。

帰り道、「私はいったいここで何をしているんだろう?」「何故ここに来て、ここに居続けているんだろう?」と考えながら歩いていた。

この国が嫌になってきたわけではない。それどころか、日本よりも遥かに住み易いと思っている。
家族はといえば、地元の大手企業に就職し、日本との繋がりなど全く無い生活を送っている。

移住し、11年が経って、もうここの暮らしが何の変哲も無い日常となっているというのに、時々ふと「私は何故ここに居るんだろう」という思いが頭をよぎる。


私の居るべき場所は本当にここだったんだろうか...

何故あの人は居なくなってしまったんだろう





23.7.14

クラフト マーケット 出店準備中

少し前、これまで持っていた物よりも一段大きい plane(鉋)を国内のインターネット オークションで(日本円にして2600円ほどで)落札した。
数カ所錆び始めていたものの、ほとんど使われなかっただろうことがブレードの状態を見てわかった。

ブレードは研いだ形跡がなくシャープそうに見えたため、試しにそのままの状態で削ってみたのだが、いくら調節しても板に深く刃がくい込んで前に滑って行かない…
微調節ができないと言った方がいいほど、本当にどうしようもなく使えない状態だった。
これを使っていた人は、おそらくこんなに使い辛いのでは使い物にならないと匙を投げたに違いない。実際、刃を研ぎ直さなかったら使い物にならないシロモノだった。

買って来たばかりなのに刃を研がなくてはならない作りになっているのはどうしてなんだろう? 買ってすぐに使える状態にしてないのにはまぁそれなりに訳があるのだろうが、不親切この上ないではないか… 
私は初めから新品を買う気は無く、中古を買えば当然真っ先に刃を研ぐ必要があるなとYouTubeで刃の研ぎ方を予め勉強してあったため、「こんなもの使えないじゃないか!」と腹を立てずに済んだのはひじょうにラッキーだったと思った。
plane(鉋)に限らず、chisel(ノミ)もやはり買ったままの状態で使い始めるのではなく、研いでから使うべしというのは木工の世界では常識となっているらしい。

今回買ったplaneは全長がこれまで持っていた物よりもはるかに長く、重量もあり、研いだブレードを付けて削ってみると、安定していてとても使い易い。
板の表面を均すのにはすこぶる都合が良く、前回買った#4の planeの出番があまり無くなっている今日この頃である。

さっそく表面を均したデッキ用の板を使って、今月から出店が決まったクラフト マーケットに掲げる看板を作り始めた。
売る物はステンドグラスと木工の作品なので、それを意識した『木+ガラス』の看板だ。

『ステンドグラス+木』という組み合わせはよく目にするが、そのほとんどが木枠とか、ランプ或はキャンドルの台座とかという程度で、木が主体でガラスが脇役というのはこれまであまり見たことが無く、これはけっこう面白いなと楽しんで作っている次第である。

スタジオに残っていた安い合板を使ってディスプレイ スタンドも作り始めた。
サイズもデザインも、製図を引くことなく板に直接印を付けて切るという大雑把なやり方ではあるが、これまでYouTubeで木工関係の沢山のビデオを見てきたおかげで、組み立てに戸惑うこともなく、スムーズに仕事ができるのは有り難い限り。

先週は、初めて Dovetail joint (日本では何と呼ぶのかわからない)で箱も組み立てた。私にしては珍しく可愛いハート形をくり抜いた木の箱。これは『ほんのわずか難あり』の、『私にとって若干気に食わない仕上がり品』を入れる箱にする予定だったが、スペースの都合で箱を置けるかどうか微妙になってきた。本当は Free と書いて欲しい人に持って行ってもらおうと考えていたのだが、そのようなことをすると周りで店を出している人たちから顰蹙を買うよと知人から忠告され、不本意ながら顰蹙を買わない程度の値段を付けて売ろうと思った次第である。その知人曰く、そんな細かい傷を気にするのは私くらいなものだと… 
ハート ボックスから買ってくれた人が「得をしたな」と思ってくれて、私が「あぁ、捨てなくてよかった」と買ってくれたことに感謝する… そんな具合に商売が成立すれば言うことはないのだが。


父が仕上げに使っていたかどうかはわからないが、『雲の上のお師匠さん』お薦めのポリッシング・コンパウンドをebay uk で購入し、届いたその日にノミを研ぎ直し、コンパウンドで仕上げたところ、おそろしく切れ味の良い刃になり、ちょっと触れただけでスッと指にくい込み、全く痛みを感じないまま、一瞬の内に傷を作ってしまった。
俊敏さが目に見えて衰えてきた私は、人一倍気をつけないと指が傷だらけになってしまいそうだ。


さてさて、
クラフト マーケットを3日後に控え、ディスプレイに必要な小道具作りは明日のペイントを残すのみとなり、どうにかこうにか間に合いそうなので、明日は釣銭の小銭をいくらか用意する為に銀行に行かなくてはならない。

連日朝から晩まで働き通しで疲れがピークに達している。
イベントが終わったら少しのんびりしよう。






22.7.14

冬のある日



NZの冬は雨ばかり。毎日々雨が降る。
けれども、日本のように一日中降り続くということは滅多に無く、降っては晴れ、降っては晴れを繰り返して一日が終わるということの方が多い。

ある日、珍しくバスに乗って単発の仕事に出かけた。
行きには雨が降っていたが、帰る頃には晴れ間が見え始め、バス停でいっこうに来ないバスを待つ間、排水溝の無い道路に溜まった水に映った景色を眺めながら、ぼおっと物思いに耽っていたが、物思いから覚めると、すっかり葉の落ちた枝々と水に浮いた落ち葉の様子が美しく思え、ポケットからiPhoneを出して写真を撮り始めた。

排水設備の整っていない大通り。
たまには美しい景色を見せてくれたりもするんだね。


15.6.14

何で?

人の一生でただ一つ確かなことは、皆いつかは死ぬということだけだ。

この世を去る時までにどんな事が起こり、どんな目に遭い、どんなことで喜び、どんなことで悲嘆し、誰を喜ばせ、誰を悲しませるようになるか、自分の人生なのに、誰も何もわからない。

今年4月、とても親しかった人のご主人が突然亡くなった。彼はとても穏やかな人で、家族を愛し、家族の為に家庭でも職場でもよく働いていた。週末になるとサイクリングに出掛け、facebookに彼のサイクリングコースの風景をよくupしていた。
亡くなる2日前にもfacebookに投稿し、何も変わったところなどなかったので、友達から送られてきた訃報を見た時には咄嗟に理解できず、「えっ?何で?」と、現実に起こっていることだという感覚がまるで無かった。
彼女も気が動転していて、何が起こったの?と私が送ったメッセージには、「あまりに突然で、何をどう話していいかわからない」という返事が来ただけで、いまだに何が原因で命を落としたのか私にはわからないままなのだ。
確かなことは、彼がもうこの世にはいないということだけ。facebookには彼の遺影と共に、友達からの嘆き悲しむ声がしばらくの間寄せられていたが、しばらくするとそれも途絶え、私達はまたいつものように生活を続けている。


先週、私はしばらく振りに友達に会いに行った。
友達の働いている店に行けばいつでも会えると信じて疑わなかった私は、その店に入り、オーナーから話を聞くまで、彼女がたまたま休みを取っているか、店の奥に居るのだろうと思って疑わなかった。
店のオーナーが沈んだ声で言った。彼女は今年3月末に癌が見つかり、化学療法を受けながら、摘出手術の日を待っているところだと。
私はまたもや、「何で?」と心の中で繰り返していた。
何でそんなにも急に彼女の人生が変わってしまうのだと、悲しいというよりも悔しい気持ちでいっぱいになってしまった。


明日自分や自分の身内、或はよく知る人がどうなるかなんて、誰にもわからない。
それなのに、生きて行く為に職を探し、お金を稼ぎ、蓄え、将来に備えていなければならないという強迫観念に晒されながら、ほとんどが好きでもない仕事をし続けている。

私達は一体何の為に生まれてきたんだ?

汗水垂らして働き続け、毎月政府に多額の税金をふんだくられ、困窮しても充分な保障など得られず、自分が亡くなったら家族はまるでハイエナのような政府から「相続税を支払え」と脅迫される。それまで散々人の稼ぎをふんだくっておきながら、悲しみのどん底にある人々によくもそんなひどい仕打ちができるものだと呆れるばかりである。

こんな世の中に、もうとっくに愛想を尽かしている私の身に、なぜまだ最後の日が来ないんだ…





6.6.14

料理屋と電子レンジ

ある寿司がメインの料理店の厨房を覗いてみる機会があった。

朝一番で残り物の酢飯(硬くなるという理由で冷蔵庫には入れず、室温に置いたままだったもの)を電子レンジで温め直し(火傷するほど高温になる)、硬くなった部分を捨てながら寿司を巻く。酢は飛んでしまっているが、酢を足すということはしなかった。
残り物の酢飯を温め直す作業は正午過ぎまで続き、午後になって当日炊いたご飯に合わせ酢を混ぜ、そのまま長いこと放置… 当然酢飯は硬くなっているが、シェフ曰く、硬くない酢飯は酢飯ではないと… 私には硬過ぎた。


私が生まれ育った県には大きな漁港が2つもある為、そこで不味い寿司にお目にかかることはまず無かった。

以前東京で働いていた伯母が実家に帰った際、駅ビルに入っていたチェーン店の寿司(近海握り)を食べ、「こんなに美味しいお寿司をこんな所(高級料亭ではなく駅ビルの中)で食べられるなんて! しかもこんな良心的な値段で!!」とえらく驚いていたのを今でも思い出す。
伯母は長く住んでいる東京或は千葉近郊では『超高級寿司屋』にしか行かない人で、安い寿司が美味しいわけは無いとその時まで信じていたのだが、伯母の実家(=私の生まれ故郷)の辺りでは、都会の超高級寿司屋に遥かに勝る素晴らしく美味しい寿司が、普通にスーパーマーケットのお惣菜売り場でも手に入るのである。

残念ながら、私はNZで寿司を食べて美味しいと思ったことは今日まで一度もない。
どんな料亭で出されるものも、取り立てて評価する気にもなれないものばかりで、刺身も(サーモンだけは美味しいのだが)マグロに至っては色でマグロかな?と想像がつくものの、味は無いに等しく、ただの水を含んだ赤っぽいスポンジのような感じで、恐ろしく不味い。

前述の寿司がメインの料理店のシェフは年期の入った日本人という風貌はしているが、実際に料理の工程を見ていると、電子レンジ無しでは営業できないだろうと思えるほど、ピーピー、ピーピー一日中電子レンジ音が厨房に鳴り響いていて、それだけで何だかゲンナリしてしまい、シェフがどんなに御託を並べても、ちっとも凄いなとは思わなかった。

前日作り置きしておいたものを翌日電子レンジで温め直して出すという方法でなければ数をさばくことはできず、収益に影響が出るというのは、まぁビジネス畑にいる人には当然のことなのだろうが、せめて、料理の蘊蓄を述べたいのであれば、電子レンジを多用するのだけは止めていただきたいと強く思った次第である。

そこの寿司は、私にとってはどれもお金を出して買うほどの味ではなく、更に、頂いた寿司の揚げ物(巻き寿司に天ぷら粉をつけて揚げたもの)は、表現するとしたら、『油の味しかしないのり巻き』で、周囲はカチコチに硬く、これまでの人生で食べた最も不味い寿司であった。

まぁ、あれを『寿司』と呼ぶのであればの話だが。


おっと、書き忘れてしまった。
自分を超一流の板前だと自負して止まないシェフの働く店のメニューには『インスタントラーメン』というのがあって、それが一番収益率が高いと笑っていた。

インスタントラーメンだよ… しかも、スーパーマーケットで買える一番安いのだ。



日本に荷物を送る準備

YouTube で犬のコートの製図を教えてくれているのを見つけ、早速製図し、まずは試作品を作り、その後超個性的な生地を使って本番に臨んだ。 製図はいたって簡単だったが、最初に使用した布は手持ちのやや厚手のフリースだったため(緑色の布は、以前作ったもののほとんど着用しなかった自分用...