10.5.15

鑿入れ作り


Dovetail joint で父の鑿を入れておく箱を作り出した。
クランプでとめているのは底板になるもの。

Dovetail がお師匠さんのように寸分の狂いも無く仕上がらないのはどうしてなんだろうと考えながら、何をどうしたらいいのか試行錯誤しながらの作業だったが、昨日ようやくその答えがわかった。おそらく、これからはどのジョイントを使っても、大きな狂い無く仕上げられるようになるだろう。

作業をしながら、『自分の頭を使って覚える』ことの重要性を再認識した。
私が小学校 5年生の時、2歳上の姉に教わり洋裁を始めたのだが、姉は同じことを二度は教えてくれなかった。教わったら忘れないように書き留めておくこと。書き留めておかずに忘れてしまったら、頭を使って考えろというのを、私は親からでも学校の先生からでもなく、姉から教わった。
そんな姉は、誰かに教わること無く、ただ洋裁の本を見て、製図の仕方から縫い方まで技術を習得したのだ。私には明らかに、姉に教わればいいという甘えがあったのだと、大人になってから気がついた。


ほんのわずかなことでも、目からウロコが落ちたように、ある日ハッと何かを悟ることがある。作業をしていて最も嬉しいのは、完成品を見た時ではなく、もしかしたら、そのような時かも知れない。

8ヶ月前、雲の上のお師匠さんは、生活がどんどん苦しくなって行く私に、彼の有料のオンライン講座を無料で視聴できるようにしてくれるとオファーしてくれた。
私は彼の親切にお礼を述べたが、オファーを受けることはしなかった。必要無いと思ったわけではなく、アンフェアだと思ったからだ。
彼のフォロワーの中には、私よりもずっと困難な生活を送っている人も相当数居るに違いない。そのような人たちがこの恩恵に与れないで、私がたまたま彼の目にとまったという理由だけで特別扱いしてもらうわけにはいかない。私は『特別扱い』するのも、されるのも好きではないのだ。

ある時、友達が私のスタジオにやって来て、「毎日目が回るほど忙しくて、なかなか会いに来る暇がない」と言うので、そんな時に会いに来る必要は無い。暇を持て余している時に来たらどうだと提案してあげたことがある。
自分に対して無理をして何かをしてもらうのが嫌なのだ。

要するに、恩に着せられるのが嫌い&借りを作るのが嫌いということだ。



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