6.5.15

足りないものが多過ぎるという現実

最近結婚指輪を外した人の写真を見ながら、私のように結婚指輪を紛失する人はそうは居ないだろうな… などと考えていた。私は姉の結婚式に行き、控え室で「金の結婚指輪とパールの指輪はどう考えても似合わないよな…」としばし考え、パールのネックレスに合わせてパールの指輪を着けることにし、結婚指輪をバッグにしまい、控え室に置いておいたら盗まれてしまったという経験を持つ、大マヌケ者だ。
まぁ、指輪にはさして興味もなかった上に、炊事やら育児には邪魔になることはあっても利益になることなど一つもなかったし、わざわざ周囲に『わたくし結婚してますの』と暗に知らせて回る必要も無かったので、結婚指輪の無いままウン十年を過ごし、そのまま未亡人のような立場に突入してしまった。
今でも指輪を買うことは無いし、身に着けることもない。私の中では不必要な物の筆頭に位置するものに変わりはない。が、もし盗んだ人がこれを読んでくれていたら、お願いだから返して欲しいと切に訴えたい。盗んだ人には何の記念にもならない刻み込まれたイニシャルが、私にとってはとても大切な想い出なのだから。

さ〜て、指輪はさて置き、最近落ち込みがちな気分を払拭するために、インターネットで買い物をしていたのだが、この変わり者だと言われる私でも、やはり荷物が届くと一時はワクワクしたりするものだ。

私の買った物… ほぼ木工用。

チーズ クロス ・・・自宅でチーズは作らない。もちろん濾し布として料理にも使えるが、これは主に木工用で、シェラックを塗ったりビーズワックスを塗ったりするのに使う目的で購入。これは prewashed(あらかじめ洗ってあるもの)。



Toggle Clamp ・・・100kgまでホールドできると書いてあったが、驚くほど小さい上に安いので真偽のほどはわからない。油とか汚れがつきにくいらしい赤いビニールのハンドルグリップが、いつまで保つのかもわからない。押さえのゴムの品質はだいじょうぶだろうか?




Mini Bevel・・・購入したのは国内のインターネット オークションでだったが、出品者はイギリス在住で、イギリスから送られてきた。

購入する前にAmazonでフィードバックを読んだが、笑っちゃうほど小さいと書いてあったのを見て笑えた。使用目的(dovetail joint)には最適な大きさだが、そんなものに使うことを想定しない人にはオモチャにしか見えない大きさ。オモチャみたいだが、作りはしっかりしている気がする。



Jewellers Saw・・・アクセサリー作りには今のところ興味が無く、これも主にdovetail joint に使う。さすがに使い捨てブレイドは使い始めはすこぶる切れ味が良く、スイスイ切れるが、切れ味が落ちたらブレイドを取り替えなければならない。買い続けなければならない部品があるというのはどうしようもなく不経済である。これはスクロールソーも同じ。付属のブレイドはいとも簡単に切れてしまうので、ブレイドの品質はおそらく良くないと思える。



余談だが、最近の日本の鋸も交換式(=使い捨て)のブレイドで、切れ味が落ちたらポイッと捨ててしまうものばかりになってきたのには、やはり違和感を隠せない。鋸の歯くらいは研げる物を作ろうよと思ってしまう。まぁ、鋸製造販売業者が生き残る為には"使い捨て"の方がもちろん良いわけで、現在鋸の需要がどれだけあるかわからないが、1本鋸を売れば、次からは使い捨ての替刃で収入を見込めるというのは、ビジネス的にはまぁ成功したと言えるのだろうが、何でもお金を出せば手に入るという考え方は、物を粗末にするという弊害を連れて来るだけではなく、明らかに品質低下に加速度がつき、更には個人レベルの技能の衰退をも招くということを忘れてはならない。
父の時代は鋸は研いで使い続けるものだったし、それで見事なまでにシャープで、美しい家具を作るのに何の不足もなかったのだ。
言い換えれば、工具を研ぎ直して使えるような技術がなければ、見事な仕事は到底できないということである。これは断言できる。


今どき手動の鉛筆削り・・・雲の上のお師匠さんの推奨品。材質は非常に安っぽいのだが、切れ味は外見からは想像できないほど良く、削った鉛筆の芯の尖り具合が最高によろしい。細かい仕事をするのにはもってこいの細さに削り上がる。
ただし、筆圧をコントロールできない小さい子供が字や絵を描くのには、尖り過ぎていて(おそらく一瞬のうちに芯を折ってしまい)不向きだろう。



シャープニング ストーン セット(砥石)・・・#180と#240しかないのが返す返すも残念だ。これでカーブしたノミの内側を簡単に研げるようになったが、この後、丸棒に目の細かいサンドペーパーを巻き付けて研ぎ、その後研磨剤を塗布した皮で磨かないと、やはり切れ味は満足できなかった。




パネル ビーティング ハンマー・・・主に工具の手入(歪み修正など)に使う予定で購入。




アルミニウム バー クランプ・・・欲しかった物の筆頭。国内、国外問わず探し続けて数ヶ月… この"超物不足"のNZで手に入るとは思っていなかったシロモノであるが、国内のインターネット オークションで他と比べてまぁまぁ妥当な値段で出品されていたので、少々心配しつつ購入。バー部分のアルミは薄く尚かつ空洞で、さすがに安っぽい感は拭えない。それでも板を挟んで留めたところ、他の部分に問題は無さそうなので、自分で手を加え、丈夫且つ機能を向上させてから使うことにした。




アルミニウム バーの空洞部分には、ピッタリなサイズに切ったMDFを差し込み(上矢印)、バーが凹まないよう補強し、挟む部分(下矢印)にはその大きさに切った薄めの合板を強力な両面接着テープで貼付けた。挟む部分が金属のままだと、プレッシャーを加えた際に作品に凹み傷がついてしまい、悲惨な結果になるためだ。

バーに差し込む補強板は四角く切っただけでは入らない。アルミニウム バーにはストッパーの役割の凹みがあり、その部分が裏にボコボコと出っ張っていて閊えてしまう。そこで、差し込むMDFの補強バーにも凹みを付ける必要がある。


私は、差し込む板のサイズ及び凹みの深さや幅を確かめる為に、合板の切れ端を空洞の寸法通りに切り、電動ルーターを使って溝を掘って確認した。
こういった精密さを要さないものについては、私は電動工具も使い、簡単に済ませる方法を何のためらいも無く選ぶ。が… 、この合板の厚みは空洞部分の厚みにピッタリだったのに、悲しいかな私の購入してきた(合板よりも安かった)MDFは若干厚かったため、鉋で一本一本厚みを削り落として調節する必要があった。

購入した6本全てに補強を施し、ようやく普通にクランプとして使えるようになった。

始めから立派な作りのクランプ(金額は有に倍以上)を買っていれば、このような工作をしないですむのだが、このように、わずかな金額と一手間掛ければ、安いものでも充分使用に耐えるものを用意することができるということを、私の雲の上のお師匠さんは教えてくれている。


The Weekend Carpenter・・・その名の通り、本格的な家具作りの本ではなく、日曜大工程度の簡単な大工仕事の本… と想像していたのだが、想像していたよりもきちんとした本で少々驚いた。全ページフルカラーで上質紙。まぁ、掲載されているもののほとんどが、私のお師匠さんクラスが作る超高級家具のような作りではなく、"安っぽい簡単な作り"なのだが、本格的なジョイントの仕方に変更し、MDFだのを使わずに無垢の木材で作れば、立派な家具になるわけで、本の価格が NZ$7ならば申し分の無い買い物ではなかろうかと思った。


美しい家具に見えるか見えないかは、手仕事の正確さに尽きる。残念ながら、この本に掲載されている家具で美しいと思えるものは一つも無かった。


Birds Of New Zealand・・・ウィークエンド カーペンターの本と一緒の出品者から、安かったという理由だけで購入。古本だが、鳥は写真ではなく全てフルカラーで描かれたもので、写真よりもはるかに趣がある。


最近、スタジオのすぐ横にある大きな木にTui(ツイ)という喉に白いボンボンを着けた美しい鳥がやって来て、色々な声を出して鳴いているので、仕事の手を休めて外に出て眺めていることが多くなった。滅多に外に出ない私は、野鳥好き。

↓ これがツイ。

↓ このカラフルな鳥もここでよく見られる野鳥である。



Shinwa Protractor (分度器)・・・ずっと欲しかった物だが、小売店に行っても見つからず、日本製のものをUSのアマゾンから購入… と思っていたら、開けてビックリ、表示は"Shinwa Japanese Protractor"、でも、メイド イン チャイナ。少々騙された感を否めない。
まぁまぁ許せる値段で、尚かつ評価が良かったので良しとするしかない。
計測機器は正確でなければお話にならないというのは、不正確な計測用ツールを買ってしまって痛いほど身に沁みているため、荷物が届いて速攻で、かつて彼の人が使っていた精密設計用の分度器で精度を調べてみたところ、狂い無しでホッとした。




キャビネット スクレイパー & バーニッシャー ・・・このスクレイパーはUKのアマゾンの方が若干安かったが、バーニッシャーはどうしてこんなにも値段が違うの?というほど恐ろしく価格差があったため、まとめてUSのアマゾンから購入。(製造元はEnglandなんだけれども…)




ジョイント ブック・・・特に探していたものではなかったけれども、安かったので一緒にアマゾンから購入してみた。これは大当たりだった。おそらく私のような木工初心者向けの本のように思うが、US$9.88(日本円にして¥1,200ほど)でこれだけの情報が得られるのは嬉しい限り。



今どきこんな綴じ方の本があるのが驚きだったが、ページをめくった時に引っかかって開けにくいので、普通の綴じ方だったら☆5つだったなと思った。




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木工に関しては、日本で(日本語で)勉強したことが無かったため、日本の呼び名でわかるのは鑿、鉋、ノコギリくらいなもので、ジョイント(継手)の各名称に至っては日本の呼び名はさっぱりわからず、インターネットで色々と探しているものの、なかなか思うように情報が見つけられないでいる。日本の繊細な技術を習得したいと強く願っているのに、どれが相応しい本かわからない。しかも、日本のアマゾンは定価販売?と思えるほど、他の通販会社と同じ価格でガッカリである。

木の種類やら、それぞれの木の性質などに関しては全く知識がないため、それらを勉強する本が必要だ。

満足できる仕事をする為には、まだまだ必要な物が出て来るに違いない。



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