31.7.16

Stanley # 5 の修正とNZの冬

昨日、車用品店でサンドペーパーを安売りしていたので、大量に買い込み、これまで見て見ぬ振りをしてきたスタンレー No. 5 の平らでない底をようやく直しにかかった。


削った面が平らになったかどうかを見るため、まずシャーピー(マーカー)で底の前端から後ろ端まで大まかに線を引いておく。上の写真のようになるまでに既に何時間も削り続けていたが、鉋の前後の凸部分が削れただけで、中央の凹みは見ての通り全く平らにはなっていない。

そこから更に削ること1時間半…


もうかなり嫌になってきている。

そこからまた数時間…


まだうっすらとマーカーの線が見えるような気がするが、もう完全に嫌になって止めた。

スタンレーって、全て修正しないと使えないのか???


今日のオークランドは、時折雹混じりの雨が時化のように降る寒い一日だった。
ここ最近天候は荒れ模様で、風が強く、家の中にいても隙間風が吹き込み、寒くてたまらない。

ドアで仕切られていないリビング&キッチンというのはここでは珍しくなく、暖房器具を使って部屋を暖めようとしても、暖められた空気は四方八方に逃げてしまい、いつまで経っても満足できる温度には達しないという、どうすることもできない環境で暮らすこと十余年… 、慣れたとは言え、家の中で厚手の上着を着ていなければならないNZの典型的な冬の暮らしは、決して豊かだとは言えないようで、先日ラジオでもその問題が取り上げられていた。

ここでの暮らしは日本とはまるで違う。
去年日本に帰った際、リビングでは灯油ストーブが常に焚かれ、家の中は常夏のような暖かさだった。
日本ではごく普通の風景だし、かく言う私も以前はそういう生活を送っていたのに、それを見て、「贅沢だな…」と思ってしまった自分がいる。

日本に戻って生活したいという気持ちは微塵も無い。
快適な暮らしというのは物質面だけの問題ではないことを、私はよく知っているから。


27.7.16

SIXTH SENSE?

昨夜、父が亡くなった時のことが頭から離れず、涙が後から後からこぼれ落ち、あぁこのままでは脳の血管が切れてしまいそうだと感じるほど、精神的に参っていた。

遠く離れた所に住む、会った事も無い雲の上のお師匠さんに、Help me! Please help me...と、寝入ってしまうまで何度も心の中で懇願していた。
何故なのかわからない。心の中で、神ではなく、彼の名前を呼び続けていたのだ。

早朝に目が覚め、彼の Facebook page を見ると、あたかも昨夜の私の叫びが聞こえたかのような投稿がなされていて驚いた。

単なる偶然?
そうかも知れない。
多分そうに違いない。
それでも、心からありがたいと思った。


そんなことを考えながら、今朝アトリエに降りて行き、取りあえずしたことは、これ↓を直すこと。



直角でもなければ45°でもなかったスタンレーのコンビネーション スクエア。
このツールが正確かどうかを調べるには、きちんとセットした状態で、まず真っ直ぐな板やら紙の縁に本体の縁をピッタリ合わせて線を引き、次に、本体をひっくり返して同じように線を引いてみるのが手っ取り早い方法だ。

下の写真で一目瞭然なように、始点を合わせて引いた線は完全に一致してはおらず、先に行くに従って開きが大きくなってしまっていた。

お世辞にも直角とは言えないこのツールの本体を、平らなガラスの上に敷いた#240 のサンドペーパーで、真っ平らに、且つ目盛の付いた物差し部分と垂直を成すように削って行った。(↓ 銀色になっているのは削った部分)


削っている最中に、何度も何度も小さな金属の塊が出てきて、ガリガリと嫌な音を立て、サンドペーパーに引っかかってしまうので、それを何度も取り除きながら作業をしなければならなかった。(いったい、どんな粗末な素材を使っているのだ?)



完全な直角が引けるようになったら、次は45°の方の調整だ。


この上の写真ではわかり辛いかもしれないが、拡大して見ると、こんなにも隙間が空いている ↓ 。(計測に使っている三角定規は、かつて彼の人が仕事で使っていた、日本製の精密な定規である)


本体の45°の側も同じように削って直し、下の写真のように正確なものとなった。



これまでは「こんな不正確な物、使い物にならないじゃないか!」と思うだけで、ただの不要物でしかなかったものだが、少し手間をかければ立派に使えるものになるということを学んだ私… そのことが1年半前にわかっていたら、父の道具箱の中に仕舞われていた、本体にヒビの入ってしまっていた特殊な鉋の全てを持ち帰って、修理して使えたのにと、後悔の念で悔しいやら、悲しいやら、いたたまれない気持ちになってしまう。
修理できることに気付いたのが遅過ぎて、父の道具箱に残して来た鉋は、私以上に木工の道具類の知識の無い姉が、私が日本を発つと同時に、ゴミの日に捨ててしまったんだと聞いた時には愕然とした。
どんな物でも持って帰ればよかった、父に本当に申しわけないことをしたと、後悔してもしきれない。

そんな諸々の後悔の念が、ずっと頭にも心にもこびりついていて、押しつぶされそうになる。


知識がなければただの不要物でしかなかったこのコンビネーション スクエア…
初めから精密なお高い物を買わなくとも、少々手をかければ安いものでも使い物になることを、もしまだ気付いていない人がいたら教えてあげたい。心からそう思った。




26.7.16

アザミの花言葉を知ってる?


農場の看板を梱包するのに一体何時間かかったんだろう…

ようやく配送準備が整い、ホッと一息ついたところで、珍しくアールグレイ ミルク ティーを入れて、ソファでグッタリしながら飲んだ。

先日チャイニーズ マーケットで買ったこの胡桃のクッキー(箱にはMini Walnut Cakesと書かれていたが、サクサクのクッキーだ)はすこぶる美味しく、私のお気に入りとなった。

何とはなしに箱に書かれていた文字を目で追っていたら、October Fifth Bakery という文字が目に入り、ドキッとした。

10月5日… 彼の人はその日にはまだこの世に存在していたのだ…

当時の記憶が鮮明に蘇り、胸が詰まった。



25.7.16

宅配業者の素晴らしいサービス

これまでは、国内のインターネット オークションで落札された出品物を投函しに車を走らせ、郵便局に出向いていた。
 $1.00 で売れた物を投函するために、高いガソリン代と時間を使って出しに行ったこともあった。

少し前から、オークション運営者が国内の宅配業者とタイアップし、オークションで売れた物を自宅まで取りに来てくれるというサービスを始めたのだが、わざわざ自宅までピックアップに来てくれ、尚かつ送料は信じられないほど安いことを知った私は、今回出来上がった農場の看板をその宅配業者に依頼することに決め、今日オンラインで引き取りに来てくれるよう予約を入れた。

予約と同時にトラッキングNo.付きの予約確認 email が届く。

宅配業者が引き取りに来る時間に在宅している必要は無く、玄関先に置いておけば勝手に持って行ってくれるという、超が付くほど楽な送り方だが、玄関に置いておいた物を、宅配業者が来る前に盗まれたら困るよな...と、私はやはり心配になってしまうので、家に居て手渡すことにしておいた。

ただ、そのサービスを利用するためには、送る荷物のサイズと重量を予め測っておかねばならず、送る物が既に出来上がっている時には問題はないのだが、今回オークション上で依頼を受け注文製作した物に付いては、オークションにリストした時点ではまだ製作途中で、実際の重量が梱包材料も含めてどれほどになるのかはっきりしなかったため、同一価格で送ることのできる最大限のサイズと重量を調べたりするのに少々難儀をした。

横97m × 縦65cm、厚み12cm と、薄い割りにサイズの大きな荷物を、運送途中で曲がったりしないよう梱包しなければならないため、私は 7mm 厚の合板を保護材として使い、通常の取扱いでは曲がりようが無いという状態にし、加えて、作品に傷がつかないように梱包材で包み、外側は厚い段ボール箱を切り開いたものでカバーすることにした。

今回依頼する宅配業者は、これまで買った物を何度も配達に来てくれている業者で、荷物の扱いがぞんざいではないので(この地域担当の人が特に丁寧なだけなのかも知れないが)、まぁ、問題無く配達してくれることだろう。

注文してくれた人には、emailで明日送る段取りになっている旨を伝え、これまでの作業時の写真をアップしたサイトのURLを添付し、時間がかかってしまったことを詫びるとともに、長いこと待っていてくださってありがとうと、お礼を述べておいた。


あぁ、何だか疲れてしまった。

最近ずっと合板しか使っておらず、また、苦手なペイントばかりしていたので、明日荷物を出し終えたら、しばらくご無沙汰している鉋がけをして気持ちを切り替えることにしよう。



24.7.16

スプレー ガン スタンド

先週始めのこと…

スプレー ガンを買った。

最初にインターネット オークションで購入した安い中国製の物は、エアー コンプレッサーに繋ぐ部分の口径が  1/4" と書かれていたのだが、それが国際規格の 1/4" ではなく、やむなくピッタリなサイズのジョイント部分を探しに出掛けるも、どこの店にもそのようなサイズの物は置いておらず、探し回るのがほとほと嫌になって、いつも行くDIY ショップで、他に選択肢の無い、たった一つの gravity 式のスプレーガンを購入する羽目になった。

(インターネット オークションで購入した物は、出品者に事情を説明し、返品したい旨を伝えると、丁寧な詫びemailが返って来て、同時に返金手続きも済ませてくれたとのこと。返品するための封筒も2日後には届き、返品も滞り無く済んでいる。 … 泣き寝入りしない私 … )

 さて、スプレーガンを手に入れたのはいいのだが、スプレー ガンにペイントを入れる時、或はペイントが入っている状態で置いておきたい時に、立てておく場所が無かったため、急きょ、端板でスプレー ガン スタンドを作る必要が出て来た。


板のサイズは超テキトウ。ぐらつかずに立てておけさえすればいいというだけの、簡単な作りだ。
立っている2枚の板の間隔及び高低差は、高い方の一枚に溝を掘って実際にスプレー ガンを乗せ、ペイントを入れる容器が "ほぼ垂直"(厳密に測る必要など無い)になるように支えて、ハンドル部分の引っ掛ける位置の高さを測り、それを基に、大まかなサイズに切ってあったもう一枚の板に溝を作った。


必要に迫られて作ったため、立てる板にボンドを塗り、底からねじ釘を打っただけの簡単な作りで、今回だけ使えればいいかな…という程度の、何の技術も要さないものだったが、予想以上に安定していたため、作業が終わってから黒くペイントし、更に varnish を塗り、長く使えるように少々見栄えを良くしておいた。

狭いアトリエに物が増える一方だ… 

23.7.16

最終チェックを残すのみ


今朝、ようやく最後の varnishing が終わった。
黒のペイントを3回重ね塗りし、その後 varnish を6回重ね塗り。
4,5回目はスプレー ガンで吹き付けたのだが、その際に細かな気泡が付いてしまった部分があり、失意のどん底に突き落とされた。
それをスチールウールでできる限り取り除き、最後はまた刷毛で塗ることになった。
自分的に完璧な仕上がりではないのだが、これで充分かなと思えるまで作業したので、このペイントが完全に乾いたら、不具合が無いかのチェックをし、ようやく出荷ということになる。

以前、鉋をかけて表面を均したスベスベの無垢の板にペイントし、綺麗に仕上げた作品があったが、それを見た人から「プラスチックみたいですね」と言われ愕然とした記憶があるため、今回は板のザラッとした表情やら、元々の板の傷などを意図的に残しておいた。

スプレー ガンを使うのは嫌いではないが、不完全な換気の室内で使い続けたら身体を悪くしてしまう(実際体調を悪くしてしまった)。かといって、屋外でペイントするのに適した日を待っていても、なかなかそんな日は訪れない… 
スプレー ガンが何の心配もなく使えるような環境を整えるには膨大な経費がかかりそうなので、取りあえずはペイント ブラシで作業できる物だけを作ることにしようと、今回改めて思った。



19.7.16

言われないと気付かない亀裂


古い鋸だがコンディションは Very good と書かれていたので、非常に期待して届くのを待っていた、Spear & Jackson の鋸。

とても厳重に梱包してくれてあり、目立った錆もなく、ブレードは若干歪んでいたが、ひどい歪みではなく、ハンドルのサイズも小ぶりで、ひどくガタガタな目立ての仕方を除いては何の問題も無い良質な鋸に見えた。


目立てはどのみちし直すつもりでいたので、このようにひどい状態であっても問題はないのだが、若干の歪みを直そうとしている時、一つ大きな傷を発見してしまった。


先端部分に亀裂が入っていたのだ。

出品者がオークションに出していた際の写真 ↓ をもう一度よく見てみると、確かに亀裂の入っている部分が写ってはいたが、そのことには一切触れておらず、『よく使い込まれているように見えるが、総じて大変良好な状態だ』としか記述されていなかったため、不覚にも出品者の載せていた写真 を見ただけでそれを亀裂だと判断することは、私にはできなかった。


私にとっては、鋸のブレードに入った亀裂というのは非常に重大な欠陥なのだが、亀裂が入っていても、その出品者に取っては『大変良好な状態』に思えたのだろう。
人の感覚というのはまちまちなので、それを責め立てても仕方がないのかなと、クレームするのを止めた。

いつか溶接の機械を買って、この部分を直すとしよう。


日本に居る家族が送ってくれた本は、3日でこちらに届いた。
私がこちらで購入した The Art of Japanese Joinery とは比較にならないほど素晴らしい本ばかりだった。
耳慣れない日本の専門用語を覚えても多分こちらでは役には立たないだろうが、数えきれないほど多くのジョイントの方法を身につけ、頑丈かつ美しい仕上げができるようになれば、少しは自分の作る物に自信を持てるようになる。そして、亡き父に「ここまでできるようになったよ」と胸を張って報告できるようになるのだ。

感覚を磨き続けなくては…



18.7.16

Rewarewa (NZ native timber) 855mm marking gauge

国内のインターネット オークションで、独特な味のある木材 Rewarewa で作られたブランド名の付いていないマーキング ゲージを買った。


全長855mm。サークルを描けるようにもなっている。

ブランド名が無いと書いたが、もしかしたら木工に携わる人が自分用に作った物であるかも知れないと書かれていたので、これは貴重な一本なのかも知れない。私はブランド名の刻まれた大量生産品よりも、こういう物の方が遥かに好きだ。(『作りが良ければ』だけれども…)

 これは非常に堅牢にできていて、目立った大きな傷もなく、滑りが少々スムーズでないと感じるほど隙間無く作られていた。

受け取って良い意味で驚いたのは、長い棹を挟む部分にしっかりと真鍮の板が挟まっていて、ネジを締め過ぎて木にダメージが及ぶことのないように工夫されていたことだ。



そしてそれだけに留まらず、ボルトを差し込む穴はきちんと四角く掘られ(しかも、サイズはピッタリ)、ボルトを締めた時にネジ自体がクルクル回ってしまわないようにしてあり、更には、ボルトが通る穴には金属が埋め込まれ、とても丁寧に作られていた。
(埋め込んだ金属が板の中央から若干外れているのはご愛嬌だ。)



鉛筆を差し込む部分は板を3枚重ねてあり、デザイン的にも配慮した跡がうかがえる。


滑りの悪かった面にワックスを塗り、#0000 のスチールウールで磨いて、スムースに動くように、また、ピンの先が少しつぶれていたので、目の細かいファイルとサンドペーパーを使って尖らせる程度のケアをしておいた。

ボルトが少々短いのが気になるので、今度 DIY Shop に出掛けた時にあと1cmほど長めの物を買って来ることにしよう。



16.7.16

優れた日本の木工技術を学ぶ

一日に片面しか塗れないvarnishing。
今日ようやく3コート目を刷毛で塗り終わり、この後すっかり乾いたところで軽くサンドし、次の2コートはスプレーガンを使って仕上げることにした。

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日本に居る家族に送ってもらいたい物があった。
何か欲しい物があったら一緒に送るよと言ってくれたので、本を一冊頼んだところ、何とそれに関連した本を3冊も買って送ってくれたとのこと。


西洋式の極簡単なジョイント技法を使って自分を甘やかしていてはダメだ。日本の継手と仕口(ジョイント)の技術を学ばない限りは父に近づけない… 

そう思い、こちらで英語版の The Art of Japanese Joinery という本を買ったのだが、写真数も思ったほど多くはなく、わかり辛い図解がほんの少し取り上げられていただけで、非常にガッカリしたため、この上の写真中央の本を買ってみようかなとかねてから考えていたのだが、Amazonで中身をチラッと見て、リビューを読んだだけなので、実際に満足できるものかどうかわからない。だが、日本の卓越した技を習得できる手助けになるだろうことは間違いないだろう。

届くのがとても楽しみである。



14.7.16

ポピー レッド

選択肢のほとんど無い防水コート選び...

コンクリート用のコート剤を使用するのはやはり不安なので、いつも使っているマイナスポイントが幾つもある varnish で仕上げをすることにした。

マイナスポイント:
1. ベタベタで扱い難く、5回以上の重ね塗りが必要で面倒。
2. すっかり乾燥するまでの時間は恐ろしく長いのに、1分前に塗った箇所に重ね塗りすると段差ができてしまって失敗する。
3. グロッシー過ぎ。
4. 下地の色が全て黄色味を帯びてしまう。

プラスポイントはたった一つ。防水面で優れているということだけ。

透かし彫りを施してないフラットな板に塗るのならまだマシだと思えるだろうが、切り取った部分の縁も全てきれいに塗らなければならないので、面倒なことこの上ない。


もうしばらくは、この varnish を塗る必要のある、外用の透かし彫りの看板は引き受けないことにしよう。
また、透かし彫り部分をサンディングするのも時間ばかりかかってしまい、時間はかかるのにそれに見合った価格では絶対に売れないことがわかったため、次に作るのはそんな余分な作業をしなくてもよい物にしようと、昨日はペイントを乾かしている間に布を買いに出掛けていた。

木工に布… と言って真っ先に思い浮かぶのは、おそらく椅子の類いだろう。

インターネット オークションでベンチの座面に張るのにちょうど良さそうなポピー レッド カラーの布を見つけ、少々競って落札したところ、何とその出品者の店は我家から歩いて15分程度の所にあることがわかった。まさかそんなに近い所の人だとは知らず、送ってもらえばいいかと簡単に考えた私は、「送料がわかり次第振り込みます」と一言添えて、出品者に自分の住所を送ってあったのだが、出品者は私の住所を見て、「いつもその道を通るから、無料で配達してあげることができるけれども、店に来て他の布を見たかったら取りに来て。営業時間内だったらいつでもOK」と返事をくれた。
他にどんな布地があるのかも見たかったので取りに行くことにしたわけなのだが、この地域にもう10年以上も住んでいるというのに、そんな所に装飾用の布地を売る店があったなんて全く思いもしていないことだった。まぁ、そこに店があることを知っていたとしても、『高いに決まっている』と予想して、店の中が見えないまま入ったりはしなかっただろうが...

超高級な店ばかりが並ぶ商店街から路地を一歩入った所にあるその店には、年配の男性と若い女性が仕事をしていて、二人ともとても感じが良かった。そして、落札した布と同じ布の端切れが少しあったからと、無料で渡してくれた。(その端切れだけでベンチシートが作れそうなほどだ)

オークションで落札した布の他にも幾つか買い、またテクテク歩いて帰ったのだが、装飾用の布地は厚くて重たく、途中で何度か休み、立ち止まって、行く途中で買った飲み物を飲んだりし、この寒い中、着ていたショートコートを脱いで、汗だくで帰って来た。

夕食時に、同居人たちに布を買いに出掛けた話をすると、「どの辺り?」「超高級なものばかり売ってそう」「メチャクチャ高そう」と、口を揃えて言っていた。

その店の数歩先にはお洒落な帽子屋があるのだが、同居人たちが勝手に『ニールの帽子屋』と呼ぶその店は、正に"そんな感じ"で、こんな帽子 ↓ が店内に品良く置かれていた。(並んでいたのではなく、さりげなく置かれているのだ)

(この画像は、TVドラマをキャプチャーしたもの)

こんな感じの帽子を品良く扱っている店がとても似合う商店街…
そして、その一角にある布地屋…
誰だって、「べらぼうな値段だろう」と思うに決まっている。

「また、いつでも、気軽に覗きに来てね」と言ってくれたので、またその内に散歩がてら行こうと思う。

Poppy Red
この布を買ったのはいいのだが、中身の厚いスポンジは何処で買ったらいいのだろう?
布を買った店に聞いてみなくちゃ...





12.7.16

Marine Grade Varnish VS Concrete Clear Coat



ブラック ペイントは3度塗りで良しとし、その上に塗るVarnish (ニス)は何を使おうかと悩んでいる。

昨日ペイント専門店に行き、店員に聞いてみると、木工用の varnish は一種類しか置いていないと言うので、「それ、これまで使ってたんだけど、塗ると黄色っぽくなっちゃうし、光沢があり過ぎて好きじゃないから、別のもので防水効果がある物ないの?」としつこく聞いてしまった。
年配の女性店員はそれしかないと言い張っていたのだが、「それじゃ、アクリルペイントはある?」と聞いてみたら、渋々店に居た(私にはペイントに関する知識がありそうに見えた)男性に、私の使用目的を話しに行った。
その男性はマネージャークラスなのだろうか、ユニフォームは着ておらず、店に着いたばかりなのか、はたまたそれからどこかに出かけることになっていたのか、私服で、しかもコートを羽織っていた。

女性店員から、私が既に板にペイントを施してあることを聞いた彼は、それだったら、コンクリート用のコート剤が使えるよと勧めてくれた。それだったら黄色くもならず、乾きも早く、3度塗りで充分で、しかも水性塗料だから、扱いも楽だよと…


ペイントを施していない板には使えないが、ペイントしてあるものだったら板でもOKというので、少々高かったが試しに買ってみた。

大丈夫だと言われても、自分で試さないまま使ってしまう勇気がなかった私は、要らない板切れに同じペイントを塗り、このコンクリート クリアー コートを塗って様子を見ることにした。

刷毛で塗っても、varnish のように塗りムラもできず、キラキラ/ギラギラにもならず、その上乾きがとても早いので、本当にこれが使えるのだったら言うこと無しだ。

今日の仕事を終え、コンクリート コートを3度塗りした板切れを家に持ち帰り、3時間ほど乾かした後で、流しで水をかけてみると、しっかり水をはじいていた。

水をつけて長く置いたらどうなるだろうと、水滴を垂らして放置すること3時間...


水滴は少々広がっていたものの、まだ丸みをおびたままだったが、水分を拭き取ると、しかりと痕が付いていた。


黒い塗装が薄くなっているように見えるが、ペーパータオルで拭いても色はつかなかったので、実際には色落ちはしていないようだ。ということは、ペイントが落ちたのではなく、ペイントの上の透明なコートが落ちたと考えられる。

コンクリート コートの使用説明書には、水が溜まるような場所には適さないと注意書きされていたので、これは木の板に限らず、コンクリートであっても同じようになるということなのだろう。


看板は壁に掛けて使うものなので、もし雨に晒されたとしても、表面の水滴は流れ落ちる。水が流れ落ちるだろう表裏の面は問題はないかも知れないが、看板の厚み部分(幅18mm)に付いた水滴は流れ落ちずにこの実験のようになる可能性は否定できない。

はてさて、どのようにしたら良かろうか…

やはり黄色っぽくなる varnish で全体を隈無くコートするのが一番良いのかな…



10.7.16

ペイント作業に突入

さて、ペイント作業...

作業台にペンキがつかないようにと、用意した古新聞紙を見て笑えた。
似ている… :)


休日は有って無いようなものの私の生活。やらなければならないことがあるのに休んでいられるというような性格ではないため、いつものようにアトリエに行き、塗装に没頭していた。

第一回目の塗装はさほど気を使うことなくできる。その後必ずサンディングすることになるからだ。塗装によって飛び出した繊維をきれいにサンドした後は、ペイントがエッジから垂れないように注意しながら重ね塗りするため、二回目以降の塗装は第一回目の塗装よりも神経を使うことになる。

カラッと晴れた夏であればすぐに乾く塗装も、寒い冬ではそうもいかず、重ね塗りする毎に待ち時間が長くなって行く。


今日は全てのエッジと表面を塗るのに約2時間かかり、塗った所がほぼ乾いたところで裏側の塗装をして終了。

これから数日に渡って塗装とサンディングを繰り返すことになるので、天気が良くなることを願うばかりだ。


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今日、裏庭の菜園を見に来た同居人Hが、そら豆に花が咲いていると喜んでいた。

最後にこの花を見たのは何十年前だったんだろう?全く思い出せないほど遠い昔の、おぼろげな記憶しか無いが、何だかとても懐かしく感じた。





9.7.16

更なる補強と気が遠くなるサンディング

製作中の farm sign の継ぎ目に、更に補強を入れておくことにした。

補強として埋め込む板は、3ミリ厚でもかなりの強度がある、恐ろしく高価な合板。
それをリボンの形に切り抜き、まず hand router plane で厚みを計っておくのだが、私はピッタリな厚みよりも若干浅めにセットし、埋め込んだ後で、出っ張ったコンマ数ミリを削り取るようにしておいた。(その方が失敗無く綺麗に出来上がることを学んだ)



まず、リボン型の補強板を埋め込む位置に、シャープなナイフで印を付ける。
そして鑿を使って、埋め込む板厚よりも少し浅めな深さになるまで丁寧に掘って行く。


削った深さを均等にするのには、hand router plane が便利である。
これは Stanley #271 small router plane で、このような細かい部分を削るのにはこのサイズでないと無理がある。


補強板を耐水性のグルーを塗って埋め込み、完全に乾いたら高さを揃えて出来上がり。


上の枠部分にも同じように補強を入れた。(これらの補強は、看板を掲げた時に見えなくなる裏側にだけ施した)
そしてその後果てしなく続いたサンディング...


表裏、そして切り口全てをサンドペーパーでスベスベになるよう削り(磨き)、形を整え、全ての角を丸くして行く作業に1日半かかった。



あぁ、ようやくペインティング作業に入れるよと、ホッと一息ついた今日は、朝はのんびり同居人たちのためにスコーンを焼いたりし、粉だらけになったアトリエを綺麗に掃除したり、最近よく取引をしているオークションのトレーダーからのemailに返事を書いたりして、一休みという感じの一日を過ごした。


7.7.16

注文製作

インターネット オークションで注文を受けたものの製作は、お互いに『信用』しないと先に進まない。

その人のためにだけ新しくオークションを開き、相手がこちらを信用して、どんなものが出来上がるかわからないまま前払いしてくれるか、或はこちらが相手を信用して、買ってくれる保障も無いまま作業を始めるかのどちらかが先になる。

私は買ってくれるという保障が無いまま作り始めることが多いが、大概の場合、相手は私が既に作り始めていることを知らないまま、すぐに支払いを済ませてくれ、気長に出来上がる日を待っていてくれる。

もちろん、中にはそんな誠実な人ばかりではなく、簡単に心変わりして梨の礫になる人もいるが、そのような無責任なことをする人というのは、おそらくこの一回だけではなく、何度も同じようなことをしてその"人となり”を露呈して生活しているに違いなく、いつか『撒いたもの』を刈り取ることになるだろうことは目に見えている。


さて、今回の農場/農園の看板をオーダーしてくれた人は、新しくオークションを開くと、数日後に支払いを済ませてくれていた。
有り難いと思う反面、未だ製作途中で申しわけなく思ってしまう。

前払いしてくれたことに感謝し、進行中の写真を送って、既に作り始めていることを伝えておいた。少しでも安心してもらえるといいなと思って。


朝、寒々としたアトリエのドアを開けると、朝日が差し込んでいて、"続きの仕事"が待っている。
私はこの風景が好きだ。
たった一人で、一日中黙って仕事をし続けるのも性に合っている。


スクロールソーの横の作業台には、カットした文字が積み重なり、カットし終わる頃になると、周りは粉だらけになっている。
細かい粉が舞うので、マスクは欠かせない。


パターン通りにカットし終えると、次は接続部分の加工だ。


ここで活躍したのは、つい先頃購入したRecord #778だった。
パターンよりも2~3mm 多めに切っておいた部分を、シューティングボードを使わずに(と言うより、四角の板ではないので、シューティングボードは使えない)、縁を直角に保ったままパターン通りに削るのには、この幅広のフェンスを付けた Rebate Plane が最適だった。


上の写真は、ブレードを中央にセットしてあり、安定した削り方ができるが、下の写真のように削る面よりも出っ張っている部分がある場合は(今回は犬の顔)、bullnose と呼ばれる先端部にブレードをセットしないと、削る部分の際まで鉋をかけられない。
この先端部分にブレードをセットしたのはこれが初めてだが、決して削り易いとは言い難く、馴れるのに時間が必要だなと思った。



この、鉋をかけ図面通りに揃えた部分を張り合わせるのに、dowel (だぼ)を5箇所埋め込んだ。使用したグルーは Titebond III (耐水性グルー)で、どういうわけかこれには薄茶色の色がついているため、しっかり張り合わせても、張り合わせた線が隠れずに残ってしまうという難点がある。


屋外で使用する物なので、耐水性グルーを使うしかなく、継ぎ目は見えても仕方がないかなと諦めたが、考えたら、これは黒くペイントするので、全然問題無かったんだとホッとした。

今日はサンディングの途中でタイムアウトとなった。
サンディング/シェイピング(スクロールソーで正確に切れなかった箇所をヤスリで削ったり、サンドペーパーで磨いたりして、形を整えて行く作業)にやたらと時間がかかり、丸々半日作業してもまだ終わっていないので、明日も同じ作業をしなくてはならない。


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インターネット オークションで落札した Tome のヤスリが届いた。
中古と言えど、とても良い状態で、素人の私が見ても上等なものだというのがわかるほど、丁寧な仕事がなされているものだった。



あぁ、それに比べて、この Stanley のお粗末さときたら…



「ありがとう」ではなく「すみません」

病院に面会に行き、エレベーターが自分の居る階に来るのを待っている時の光景... 到着したエレベーターから降りる人は、必ずお辞儀をしながら降りてくる。 乗り込む際、最後に入ってくる人もまた、お辞儀をしながら入ってくる。「すみません」と言いながらお辞儀をする人が圧倒的に多い。 また、...