3.2.16

全長 43.5cm Marples BB Plane 要修復

よく無事で届いてくれたものだと、NZ Post に深く感謝した、国内のインターネット オークションでの買い物…


落札価格は $10だったが、送料は $25.50かかると出品者から連絡があり、それは何かの間違いだろう。きっと送料を多く取り過ぎていたから返金するよと連絡が来るに違いないと、待つこと10日間。

返金は無かった。
しかも、何と、3倍もの送料を取っておきながら、この梱包ですか… 
ハンドルがよく無傷で届いたものだと、ホッとすると言うよりも、その無謀な送り方に度肝を抜かれた。

この送り方しか思いつかなかったんだろうか?それとも、送料を極力減らし、手元に残る差額を多くしたかったのだろうか?
いやいや、悪く考えてはいけない。
きっとものすごく辺鄙な所に住んでいて、最寄りのポストショップまで行くのに恐ろしく長い道のりを運転して行かなくてはならないために、ガソリン代を上乗せしたに違いない… などと勝手に考えてたりしていた。 

「良い状態で届くはずだよ」という出品者からの email が、この梱包の仕方から見て明らかに的を得ていないとわかったため、恐る恐る中を見ると、大きなクラックが2本入っていて、これをいい状態だと宣う出品者との感覚の大きな開きを目の当たりにし、はてさて、一体どのような feedback を書きましょうかと、真剣に悩んでしまった。(いまだに悩んでいる)


とにかく、鉋のコンディションを事細かに確認せずに入札したのは私の落ち度であるし、ダメージがあった場合のことを考慮に入れて $10までしか入札していなかった私がその金額で落札してしまったのだから、これは直して使うしかない。

まずは前方の亀裂に木工用ボンドを流し込み、クランプで留め、次に底に入ったやや広めの亀裂にも同じようにボンドを流し込んで、ありったけの力を込めてクランプで締め上げた。



なんと哀れな姿… 

この処置でどれだけの期間持ち堪えられるかわからないが、取りあえず、隙間はほぼふさがった。

この後、日本の仕上げ鉋を使って底を平らに均し、ブレードを研ぎ直した。
ブレードの質は悪くないようでホッとした。

驚くべき事に、この鉋のどこにも、刃の出具合を微調節すべくハンマーで叩いた跡が付いていなかった。ということは、この鉋はほとんど使われてはいなかったということに他ならない。
まぁ、鉋の汚れ具合をみれば一目瞭然なのだが、このように、古いけれども新品同様というような道具というのは、お買い得と考えた方がいいのか、使えないシロモノだったのですぐにお蔵入りしたと考えた方がいいのか、判断に苦しむところである。

研ぎ直したブレードを装着し、小さなハンマーで叩いた痕を沢山付け、微調節を繰り返して、切れ味の良い長い鉋の出来上がり。

このトレード、刃の質が良かったのが大きな救いだった。

インターネットオークションでの鉄則。
* 入札する前に、きちんと品物のコンディションを出品者に確認するべし。
* 送料を事前に問い合わせるべし。
* フィードバックが例え100%ポジティブでも、落とし穴がある場合がある事を肝に銘じるべし。


追記:

出品者へのフィードバックをどのように書けばいいのやらと、悩みに悩んだ挙げ句、当人にまず送料のオーバーチャージ分を返金してくれる気があるかどうかを確かめてみた上で、どのようにするか考えても遅くはないなと考え、丁寧なemailを書いて送った。

私は解決しなければならない問題が持ち上がった場合には、いつでも相手の良心に訴えるように話すようにしている。相手がもしこちらに対してほんのわずかでも申し訳ない気持ちを持っていたとしたら、その気持ちを正直に表すことができるようになるだろうし、円満に解決すれば、わざわざネガティブなフィードバックを残す必要は無いのだ。

もし万が一、「チェッ、うるさいことを言ってきやがった」としか思わない輩で、こちらの問い合わせを完全に無視し、何の連絡もよこさないような人だったら、その時にはポジティブなフィードバックを残す必要は無く、他のトレーダーへの警告の意味を込めて、正直に、ありのままの成り行きを書いて残せばいい。


この出品者は翌朝返事をよこした。
「あなたに伝えた送料は、NZ Post のHP上で試算したもので、実際にポストショップに出しに行ったら、それよりも安い金額だった。その鉋は古いけれども一度も使われてはおらず、あなたは激安格値で買えたのだ。だが、もしあなたが返金して欲しいのなら、あなたの銀行口座を教えてくれたら手続きするよ。」

この文面には、「一度も使われていない、いわば新品をあんなに安い金額で落札できたのだから、送料をちょっとくらい多く払っても損は無いじゃないか!どれだけケチなんだ?」という意味合いが含まれているのは明らかだが、実際にポストショップに出しに行ったら、私に伝え、既に振り込まれている金額よりも(ずいぶん)安い金額だったので、シメシメと思ったことには一切触れてはいない。
(そもそも、$10で売るのがそんなに癪に障るのなら、その金額をリザーブ価格にしなければよかったわけで、$10以上入札する人が居なかったのは、当然のことながら私の責任ではない。しかも、新品とは言え、割れ目が2本も入っているほど状態の悪い物を、知らない顔をして売ってしまおうという、買った人の被る損害など微塵も考えていないその人は、こともあろうに、"良い状態で届くはずだよ"と、何を考えたのか、嘘までついていたのだ。しかも、あんな梱包の仕方でだ)

シメシメと思わず、申しわけないなと思うような誠実な人だったらば、その旨をすぐに連絡して来て、速やかに返金の手続きを取ったことだろうし、それ以前に、出品している品物に明らかなダメージがあったなら、それを包み隠さず書いておいただろう。

その人がどのような性向かは、そのようなちょっとしたことから容易に判断できるようになる。

そう思いながらも、まぁ事を荒立てるのも大人げないと、私は、すぐに返事をくれたことに感謝し、過剰にチャージされた送料分だけ返金してくれたら嬉しい。亀裂が入っていたにしろ、それをよく確認しないで入札及び落札してしまったのは私の責任なので、この鉋は私が修復して使うようにする旨を書き、振り込み口座の情報とともに送っておいた。

半日ほどして返金の入金があったことを確認し、速やかに対処してくれた事に対してemailでお礼を述べ、取引終了。



もし、その人がポストショップに出向いてすぐに、「送料を取り過ぎていたから返金するよ、口座番号を教えて」と自ら連絡をくれていたら…

童話、『金の斧と銀の斧』の"良い木こり"のように、その善良さが報いられたかも知れないのに…  としみじみ思った。



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