5.2.16

Love Wooden Planes


研いだばかりの刃を装着した Marples BB Plane(写真上)と、研いでからもう何十回も使っているHenry Boker で、削った感触を確かめた。

Henry Boker のラミネートされた刃は研ぎ直していないのにも関わらず、依然として0.01mm以下(私のcaliper - 厚みを測る器具 - は0.01mmまでの厚みしか表示できないため、それ以下だと0.00mmと出てきてしまう)の極薄い表面を削り取ることができたが、Marples BB Plane は神経を尖らせて調節しても、0.01mmを出すのがやっとだった。そして、試し削りをしている間に明らかに切れ味が落ちるのがわかるほど、Henry Boker に比べて刃の質が劣っているのがわかった。

鉋がけがどれだけ重要かなど、以前は考えた事も無かったし、最近まで、表面をサンディングすれば同じじゃないかとさえ思っていたのだが… 

下の写真は、中央部分を#240のサンドペーパーで軽く磨いてあるのだが、ちょうど影の部分になってしまっていてわかり辛い。機械で切断した跡が無数に付いている部分は何も手を加えていない状態である。


その板の裏側を、研いだばかりの刃を装着した Marples BB Plane で削ったものが下の写真。



更に近付いて撮影すると、写り込んだ窓の光りが鮮明に見えるほど表面が輝いているのがよくわかる。(鉋で削っただけの、オイルも何も塗っていない状態)



YouTube等で、機械木工をしている人々が、細い板を繋ぎ合わせて、一枚の広いテーブル トップにしている様子を時々目にするのだが、多くの人は、はみ出したグルーを削り取るためにだけ鉋を使い、グルーがおおよそ取れたら、次に電動サンダーで全体を隈無く磨くのだ。
機械木工の人に取っては、鉋はその程度の使い道しかないのだろうなと思った。

電動サンダーも、目の細かいサンドペーパーを使えば艶が出てくるものかも知れないが、目の細かいサンドペーパーの目はすぐに詰まり、すり減ってしまうだろう。そうなれば、捨てて新しいものに交換しなければならない。
私は鉋でこれだけの艶を出せることを知ってしまったので、そんなもったいない事をする気にはならなくなった。

さて、ここまで綺麗に削ることができるようになった Marples BB Planeだが、出品者が『未使用のもの』と言っていたように、使われていなかったであろう表面には、機械で削った跡がまだ付いており、手触りがガサガサだったため、表面をサンドペーパーで軽く磨いた。
磨いているとき、この分厚い鉋の表面に、板を張り合わせた跡が残っているのが目に入った。







この鉋は、見たところ、4本の角材を張り合わせてできているもののようで、これはおそらく、材が反ったり歪んだりするのを緩和するための対策なのだろうが、この張り合わせてあるのが功を奏して、例え亀裂が入ったとしても、一挺が真っ二つに割れてしまうことなく、形を留めていられるというのは、さすがによく考えられているものだと感心した。

もしこの長い鉋が一本の角材から作ってあったとしたら、長い年月の間に膨張、収縮を繰り返し、反ったり、ねじれたりした挙げ句に、小さな亀裂が入り、やがてその亀裂が致命的な裂け目となって使い物にならなくなっていたことだろう。

昔の道具類というのは、よく考えて作られたものが多い。
私は幾つも鉋を買い集めたが、金属製のものよりも、昔の木製の鉋の方が手に馴染み、使い易いと感じるようになってきた。

金属製の鉋の刃の出具合を調節するレバーは、便利なようにみえて実はそんなに使い勝手が良くない。私は時々そのレバーを微調節するのに苛つくことがあるのだ。

昔の木製の鉋は、日本の物も、西洋の物も、金槌でボディを叩いて刃の出具合を調節しなければならないが、叩き具合はしばらく使っていると感覚でわかるようになって来る。

雲の上のお師匠さん推奨の Stanley #4 が私の生まれて初めて手にした鉋だったが、私は最近、木製の鉋、特にドイツと日本の鉋ばかりを使うようになった。

何故かって? 刃の質がまるで違うからだ。

この Marples BB Plane は、刃の質は昔の日本の鉋や昔のドイツの鉋には及ばないものの、そのボディの大きさ(長さ)は、長い板面、或は広い板面を鉋がけするのにとても安定していて使い易く、きっとこれから沢山働いてくれるに違いないと思った。







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